ツマグロヒョウモン


 ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン♀
(2016年5月18日 北関東山地)
 ツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♂
(2019年4月28日 東京都文京区)
 ツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♂
(2016年5月18日 北関東山地)
 ツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♂
(2014年5月3日 千葉県船橋市)
 ツマグロヒョウモン♀
ツマグロヒョウモン♀
(2012年9月24日 千葉県船橋市)
ツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♂
(2009年7月11日 千葉県船橋市)

   沖縄の「ひめゆりの塔」の前には、お花や線香を売るおばあさん
   たちがいる。たしか2、300円だったと思うが、それを買って
   手向けるのである。

   終戦間際の昭和20年3月、那覇の女子高生たちは負傷した兵隊
   たちであふれる病院に動員された。必死の思いで傷の手当てをし、
   兵隊を励ます。死んでいく兵隊さんの死体を運んだりもした。

   米軍が沖縄に上陸、最初は兵隊たちと行動を共にしていた彼女た
   ちはやがてちりじりになり、この壕で自決したり、米軍の攻撃で
   命を散らして行ったのだった。

   かっと照りつける南国の太陽の下、壕をのぞき込むと深い暗闇が
   広がる。自然と手を合わせる気持ちになってくる。

   目を上げると、ツマグロヒョウモンがひらり、ひらりと舞ってい
   た。それがなぜか亡くなった女子高生のように見えて、胸が熱く
   なった。

   オスとメスでは斑紋がかなりちがう。

   南国の蝶のイメージが強いが、このところ東京近辺でも珍しくな
   くなった。秋が深まった頃、鎌倉を歩いていたら、この蝶と何度
   も出会って、その棲息域の急拡大に驚いたのは数年前だったが
   2006年9月に初めて、我が家の庭にやってきた。
   それが、今では一番の普通種になってしまった。
 ツマグロヒョウモン♀
ツマグロヒョウモン♀
(2013年9月5日 千葉県船橋市)
ツマグロヒョウモン♂
ツマグロヒョウモン♂
(2010年5月15日 千葉県千葉市)
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2009年8月26日 千葉県船橋市)

   標高1955メートルの入笠山の頂上でこの蝶と出会うとは思
   ってもいなかった。

   頂上のごつごつした岩の間を、キアゲハと一緒になって占有
   飛翔している。

   キアゲハが追い出そうと近づいてくるが、この蝶も負けていな
   い。

   どこで生まれ育ってここまでやって来たのだろうか。

   陣馬山に登った時もそうだった。
   頂上に広がるカシワの林でハヤシミドリシジミでも探そうかと思
   って登ったが、そうは問屋がおろさなかった。

   頂上にいるのはツマグロヒョウモンだけでキアゲハもいなかった。
   我が物顔に頂上を占拠しているのだった。

ツマグロヒョウモン
(2006年8月7日  長野県入笠山)
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2014年7月16日 東京都八王子市)
 
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2014年7月16日 東京都八王子市)
 
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2007年6月4日 埼玉県狭山丘陵)

 ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2018年9月17日 千葉県印西市)
   船橋市の我が家の小さい庭にもツマグロヒョウモンがやって
   来るようになった。

   昨年は9月に一度見かけただけだったが、今年は8月から
   毎日のように姿をみせるようになった。

   庭にはタチツボスミレや西洋スミレを植えているが、ある日
   ツマグロヒョウモンがスミレの中にもぐって一生懸命卵を産ん
   でいた。

   スミレの葉ではなく、根元の茎に近い地面のところに盛んに
   産み付けている。

   しばらくすると、スミレから幼虫が見つかった。

   晴れた日には庭の敷石の上に幼虫が3匹出てきて、日向ぼ
   っこをしたりしていた。

   どうやら我が家の庭でもツマグロヒョウモンが育っているようだ。

            (2007年9月27日  千葉県船橋市)
ツマグロヒョウモンの幼虫
ツマグロヒョウモンの幼虫
(2007年9月25日 千葉県船橋市)
   庭のスミレで育ったツマグロヒョウモンの幼虫を飼育した。

   スミレを取ってきてぽつぽつと与えると、大変な食欲で
   むしゃむしゃ食べている。スミレの葉をかじって行く音が
   聞こえてきそうだ。

   終齢幼虫は体長が4・7センチもある。
   随分大きい。

   10月1日、茶色い蛹になった。

   アカタテハもそうだったが、蛹を彩っている金色の点がと
   ても美しい。

   もう10月。朝晩はかなり寒くなってきた。

   ツマグロヒョウモンの蛹はいつ羽化するのだろうか。
   と、思っていたら、2週間後の10月14日、美しい
   ツマグロヒョウモンが羽化した。

   羽化の瞬間は残念ながら見逃してしまったが、枯れ枝
   に掴まって一生懸命翅を伸ばしている。

   翌朝、放してやると元気いっぱい飛び立っていった。

   秋も深まっているが、最後の秋を思いっきり生き抜いて
   欲しいものだ。

   スミレのまわりをもう一度丹念に探してみると、ユキヤナギ
   の枝で蛹化しているツマグロヒョウモンも見つかった。
   
               (2007年10月15日)
ツマグロヒョウモンの蛹
ツマグロヒョウモンの蛹
(2007年10月1日 千葉県船橋市)
ツマグロヒョウモンの蛹
ユキヤナギの枝で蛹になったツマグロヒョウモン
(2007年10月15日 千葉県船橋市)
   ことしもあと二日になった。

   天気も良いので大掃除がてら庭の整理をした。小さな庭だが
   愛着もある。

   ふと手を休めて見てみると、枯葉の陰にツマグロヒョウモンの
   幼虫がいるではないか。

   もうびっくり。

   ことしは何度か我が家を訪れてくれたツマグロヒョウモンだが、
   この寒さに幼虫が元気で越冬中とはちょっと感激だった。

   周囲を丹念に見てみると、2齢(?)が一匹、それよりうんと小
   さいのが3匹いた。

   無事冬を越してくれるのだろうか。なんとか頑張ってほしいなあ。
               (2007年12月30日)


(2008年2月29日 自宅庭で)
   季節が駆け足で変わって行く。

   きょうから3月、蝶の季節がやってきた。

   きのう、きょうと気温がぐんぐん上がって、桜の頃の気候だ。

   ツマグロヒョウモンがどうしているか、庭の隅を探してみた。

   枯葉を丹念にめくってみると5匹の幼虫が見つかった。ことし
   の冬はとりわけ寒さが厳しく、雪も二度積もった。多分、越冬
   は無理だろうと思っていただけに「よくがんばったね」と胸が
   熱くなった。

   幼虫の越冬が確認できたということは、千葉でも定着している
   ということだろう。

   幼虫は体長20ミリから15ミリ。若齢幼虫だ。もう少し大きい
   幼虫は見当たらなかった。

   うれしい春の始まりだった。

               (2008年3月1日)
ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン
(2008年5月8日 神奈川県二宮町)
交尾中のツマグロヒョウモン
庭で交尾するツマグロヒョウモン
(2008年8月25日 千葉県船橋市)
   ことし(2008年)我が家の庭を一番訪れた蝶はツマグロヒョウ
   モンだった。

   数年前では考えられないことだが、船橋市の一番の普通種は
   このツマグロヒョウモンだ。

   近所の奥さんがスミレに産卵したこの蝶を大切に育て、餌が
   足りなくなると「スミレくれませんか」と頼みにきた。19頭も羽化
   させたそうだ。

   おかげで庭で交尾しているカップルをみかけることもできた。

   今週は秋の長雨のように雨が続いているが、ブットレアの花で
   じっと夜を過ごす睡眠中のツマグロヒョウモンもいた。

   朝になってもじっと小枝に止まっていたが、雨が小止みになると
   どこかへ飛び立っていった。

   いろいろな観察も楽しいものだ。
眠るツマグロヒョウモン
小雨の中、ぐっすり眠るツマグロヒョウモン
(2008年8月26日 千葉県船橋市)
 ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモン♂
(2012年10月1日 千葉県船橋市)
  麻生首相は毎朝自宅近くを散歩するそうだ。

  総理大臣に選出される日の朝、散歩から戻って記者団に囲まれ
  「今朝のご気分は…」と聞かれると、空を見上げて「完全に秋の
  雲だな。風もさわやかだ」と感想を述べていた。

  もうすっかり秋の気配だ。北海道では大雪山黒岳に初雪が降った
  という。

  我が家の庭は今ツマグロヒョウモンが毎日飛び交っている。
  10頭近くいるのだろうか、次から次とやって来てはランタナやブッ
  トレアの花で戯れている。

  カップルが出来て、交尾する姿も見られる。

  庭にはかなりスミレが植えてあるが、越冬した幼虫たちがここか
  ら羽化している。30頭ほどが羽化したのではないだろうか。

  スミレはもう丸坊主だ。それでも卵をあちこち産み付けるから幼虫
  が餌を求めてうろうろしている。

  「かわいそうよ」という妻の言葉で、園芸店に出かけパンジーを買っ
  てきて植えてやった。心配したがそれもあっという間に食べ尽くし、
  また3000円をはたいてパンジーを買ってきた。

  スミレの代用食だ。

  しかし、パンジーには農薬もかかっているらしく、弱って死ぬ幼虫も
  いる。

  今を盛りのツマグロヒョウモンはもう餌がないのにせっせと卵を産
  んでいる。秋が深まり、これからの幼虫は厳しい冬を乗り越えられ
  るのだろうか。
                    (2008年9月25日)
ツマグロヒョウモンの交尾
ツマグロヒョウモンの交尾
(2008年9月24日 千葉県船橋市)


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