ルリタテハ
ルリタテハ (2009年3月19日 千葉県千葉市) |
ロベルト・ベニーニの映画「ピノッキオ」には蝶が小道具として 効果的に使われている。冒頭のシーンも幻想的だ。 ニコレッタ・ブラスキが演じる妖精がこんなことをつぶやく。 「蝶ってどのくらい生きるの?」 すると召使のメドーロがこう答える。 「蝶という生き物は哀しみを知らないと言われます。幸せな一 日を生きて、次の日が来る前に死ぬと言われます」 厳しい冬を生き延びたルリタテハが木の幹に止まって太陽を いっぱい浴びていた。もう半年は生きているのだろう。 冬を耐えた割には翅も美しかった。 春といってもまだまだ季節は揺り戻しがある。これからの一日 一日は幸せな日々になるだろうか。 そしてある日、メドーロが言ったようにそっと死んでいくのであ る。太陽を浴びて翅を思いっきり広げているルリタテハがとて も気高く見えてくるのだった。 |
ルリタテハ (2023年3月16日 千葉県市川市) |
ルリタテハ (2023年3月4日 千葉県千葉市) |
ルリタテハ (2021年11月1日 千葉県船橋市) |
ルリタテハ (2020年3月11日 埼玉県武蔵嵐山町) |
ルリタテハ (2021年3月16日 埼玉県武蔵嵐山町) |
ルリタテハ (2019年9月6日 山梨県鳴沢村) |
ルリタテハ (2016年10月26日 千葉県習志野市) |
ルリタテハ (2014年8月17日 山梨県富士吉田市) |
ルリタテハ (2007年10月29日 沖縄県那覇市) |
ルリタテハ (2008年4月15日 宮城県仙台市) |
蝶の翅の美しい輝きに魅せられて蝶の愛好家になった人は 多いと思う。 ルリ(瑠璃)というのは古代から人を惹きつけてやまない神秘 の色だ。 空き地が無くなった我が家の近くでも、ルリタテハはまだまだ 元気に生息しており、きらりとルリ色の翅をきらめかせて飛ん でいるのを見るとうれしくなる。 ギフチョウの頃、里山に出かけて越冬後のこの蝶に出会うと 「元気に冬を越したんだなあ…。よかったなあ」と声をかけた くなる。 テリトリーを張る意識が強いのか、縄張りに他の蝶が入って きたりすると、元気よく飛び立って追いかけ、また、元の場所 に戻ってくる。 そんな時はひときわ得意そうにルリ色の翅を輝かせて翅を広 げている。 幼虫の食草はサルトリイバラやホトトギス。 花には来ることは少なく、樹液に好んで集まる。 |
ルリタテハ (2010年10月4日 千葉県船橋市) |
ルリタテハ (2006年8月2日 山梨県日野春) |
春に3日の晴れなしというが、4月に入ってからことし(2008年) も天気がなかなか定まらない。 桜もあっという間に満開になったと思ったら、春の嵐と突風であ っと言う間に散ってしまった。 晴れる日は忙しく、暇な日は雨となかなかままならない。 そんな合間を縫って蝶の観察に出かけた。 きのうからきょうの未明まで200ミリを超す大雨が降り、蝶たち はどうやって凌いだのだろうか。ルリシジミもスジグロシロチョウ もベニシジミもミヤマセセリも翅がかなり痛んで気の毒だった。 そこにルリタテハが横切るように飛んできた。 ルリタテハも翅がかなり痛んでいるが、こちらは昨年の晩秋から 半年間生き抜いてきたのだから、仕方ない。 すういと飛んで、古木に止まると太陽の日を浴びるように翅をゆ っくり広げた。 明日はまた雨だ。 2008年4月11日 |
ルリタテハ (2011年4月6日 神奈川県石砂山) |
ルリタテハ (2008年10月16日 千葉県鴨川市) |
ルリタテハ (2015年10月12日 沖縄県石垣市) |
ルリタテハ (2018年6月24日 沖縄県中城村) |