オオイチモンジ
オオイチモンジ (2009年7月27日 北海道上川町) |
オオイチモンジは蝶マニア垂涎の蝶だ。 特に北海道層雲峡近くの林道はこの蝶の黒化型が発生することで 知られ、林道はネットを持った採集者であふれている。 効果的な採集法にリンゴトラップというのがあり、林道のあちこちに トラップを仕掛け、オオイチモンジが集まって来るのを待っている。 マニアの宿泊するペンションもトラップを作ってそれを渡すのをサー ビスにしている。最近はこの黒化型が高値で取引されることもあって 道内のマニアが毎日のようにやって来ている。 主なポイントは朝の4時頃から場所取りするすさまじさだ。道外のマ ニアはなかなか割り込むことも出来ない。 採集者のマナーの悪さは目を覆うばかりで、採集の終わった後もト ラップは放置したままというケースが多く、クマがそれを狙って林道 に出没するケースも出ている。 そのため、トラップを使うことの自粛が呼びかけられているが効き目 はまったくなく、ある林道は立ち入り規制がされるようになっている。 毎年、毎年多くのオオイチモンジがトラップの餌食になり、この美しく 雄大な蝶は危機の状態にある。 トラップを否定するわけではないが、一考を要する問題だろう。 |
オオイチモンジ (2023年6月19日 北海道当麻町) |
オオイチモンジ (2023年6月19日 北海道当麻町) |
オオイチモンジ (2022年7月10日 北海道札幌市) |
オオイチモンジ (2022年7月10日 北海道札幌市) |
オオイチモンジ (2009年7月27日 北海道上川町) |
オオイチモンジ (2009年7月27日 北海道上川町) |
オオイチモンジ (2014年7月7日 北海道喜茂別町) |
札幌の街を車で走っていると、白い綿毛のようなものが沢山飛んで いた。いわゆる「柳絮(りゅうじょ)」である。 辞書には白い綿毛を持った柳の種子とある。 ひとすぢの柳絮の流れ町を行く という普羅の句がある。 ポプラも確かそうだと思っていた。モスクワの郊外や中国でもこんな 光景にぶつかったことがある。 支笏湖の傍の「苔の洞門」に立ち寄ったが、この柳絮が一面綿の絨 毯のように白く地面を覆っていた。 そばにどろの大木が何本かあり、それがもとだった。 オオイチモンジの食樹はこのどろである。 どろの木の周りを悠然と飛んでいる。オスは時折下に下りて来るのだ が、メスは高い梢ばかりを飛んでいてなかなか採集のチャンスが無い。 メスの採集チャンスはオスの十分の一とか言われ、だからメスの標本 は高く売買されている。 |
オオイチモンジ (2014年7月7日 北海道喜茂別町) |
オオイチモンジ (2014年7月7日 北海道札幌市) |
オオイチモンジ (2008年7月16日 北海道富良野市) |
車を運転しないぼくは蝶を求めてただひたすら歩く。 基本的にはいつも単独行だから、山道で一番怖いのはクマ との出会いである。 信州の山を歩いている時、横のブッシュから大きな音がして 目の前に大きな動物が飛び出してきた時は心臓が止まった。 やられた。クマだ…。 一瞬、そう思って体が固まった。 しかし、目の前の動物を良く見るとそれはカモシカであった。 向こうもびっくりしたのか、じっと動かず、ぼくの目を見る。ぼ くも見返す。 やがて、カモシカは静かにブッシュの中に戻っていった。 だから、気休めだがクマ避けの鈴を鳴らしながら歩いている。 大型で雄大なこの蝶はマニア垂涎の的である。 夏になると北海道の林道は捕虫網を持ったマニアでいっぱ いになる。 林道を歩いていると、目の前からふわりとオオイチモンジが飛 び立った。「しまった」と思って、追いかけると、やっと地面に止 まってくれた。 忍び足で近づくが、じゃらんじゃらんと鈴が鳴る。 オオイチモンジはその音に気づいてまた、ふわりと飛び立つ。 ふわり、じゃらんじゃらん、ふわり…。その繰り返しでやがて、 オオイチモンジは沢の向こうに飛んでいってしまった。 なかなかいい写真が撮れなかった。 クマ避けの鈴を止めようかどうか、しばし、悩んでしまった。 |
オオイチモンジ (2008年7月16日 北海道富良野市) |
オオイチモンジ (2008年7月16日 北海道富良野市) |