コムラサキ
コムラサキ (2013年7月31日 長野県上高地) |
コムラサキというのはなんと粋な名前なんだろう。 オオムラサキは切手にもなって、国蝶にまでなったが、それと くらべるとコムラサキの名前を知っている人は少ない。 蝶とつきあい始めたころ、上高地で見たこの蝶は忘れられな い。河原の湿地で吸水していたのだが、時折、翅がわずかに 開き、そこからちらっと紫色の美しい翅がのぞく。 なかなか、簡単には美しい翅を見せてはくれない。 美しい女性が着物の裾をちらりとはだけて、すぐ居ずまいを 直す風情にも似て、上品で艶かしくもあった。 といっても、紫に輝く翅を持っているのはオスだけだが…。 いつまで観察していてもあきないのだった。 柳などがある河原などでよく見かける。 柳類を食樹にしているからだ。 柳の春の芽吹きはとても美しく風情があるが、最近、自宅の 近くの公園にあった柳の古木三本が切り倒されてしまった。 市役所に尋ねると「夜、柳の枝が風にゆれると怖いという苦 情が多いので…。防犯上のこともありますから…」との答えだ った。 柳も見る人によって随分、違うものだと思った。 |
コムラサキ (2018年8月5日 長野県中央アルプス) |
コムラサキ (2022年9月21日 千葉県船橋市) |
コムラサキ (2021年6月13日 千葉県千葉市) |
コムラサキ (2013年8月1日 長野県上高地) |
コムラサキ (2013年8月1日 長野県上高地) |
思い立って上高地に出かけた。 もう夏休みに入っているので、宿はどこも満室で、やっと河童橋の畔 の旅館が1室だけ空いていてやっと予約が取れた。 土曜日に予約を取って、来週の天気予報を見ると火曜日から段々天 気は良くなってぼくらが上高地に入る水、木は絶好の天気だった。 ところが天気予報は当てにならないもので、火曜日になると木曜日は なんと雨。 ぼくらは木曜は岳沢に登ってちょっと遅いかもしれないが、タカネキマ ダラセセリと旬のクモマベニヒカゲでも観察する計画だった。 予報通り、水曜の夜から雨が降り始め、朝食のころはそれこそすごい 豪雨だった。もうすっかり意気消沈して「10時まで宿にいて、もう帰ろ うか」と話していた。 部屋に戻っても雨は激しい。 ところが、9時頃になると雨が何故か止み、雲の間から薄日が射して きた。それでもテレビの天気予報は「今日は雨です」と繰り返していた。 宿を出た僕らは岳沢の登山口に向かった。 少し登り始めると、空は奇跡的に青空に変わったが、登山道はそれこ そ滝のように水が流れている。登山者たちはそこを巻いて登って行く。 あんまり危険なので僕らは断念した。 梓川は泥水のようになっていた。その遊歩道を歩いているとコムラサ キが飛び始めた。あんな豪雨だったのにきらきらとその翅は輝きとて も美しかった。(2013年8月) |
コムラサキ (2013年7月7日 北海道旭川市) |
コムラサキ (2013年6月23日 山梨県北杜市) |
コムラサキ (2013年6月23日 山梨県北杜市) |
コムラサキ (2006年8月7日 長野県入笠湿原) |
コムラサキ (2007年7月27日 長野県軽井沢町) |
コムラサキ (2015年8月6日 長野県南牧村) |
コムラサキ (2015年8月6日 長野県南牧村) |
コムラサキ (2015年9月23日 千葉県船橋市) |
コムラサキ (2015年9月23日 千葉県船橋市) |