キベリタテハ
キベリタテハ (2008年8月12日 山梨県甲州市) |
中里介山の「大菩薩峠」は大正から昭和の一時代を席巻 した大衆小説といっていいだろう。 戦後には映画になったのをこども心に覚えている。 高齢の母が「大菩薩峠」をもう一度読みたいと言ったことが あった。丸善など大手書店を回ったがどこにもなかった。 角川が昭和44年に文庫で発行した全27巻があるが、これ も絶版になっていた。神田の古書店でやっと見つけることが できた。 もう読む人はいないし、この小説のことを知る若い世代もあ まりいなくなった。 かって山小屋福ちゃん荘をアジトに赤軍派が軍事訓練を行 い警視庁の大捕り物があったが、これも歴史の向こうに消え かかっている。 大菩薩峠は花の山として知られていた。夏の終わりになると ヤナギランがみごとに咲いた。 キベリタテハも大菩薩は大発生地として名高かった。 黄色いへりを持つキベリタテハ。その内側のブルーの点列は とてもシックで、蝶ファンの人気も高い。 「この山も花が随分少なくなりましたねえ」 尾根道で休憩していると、中年のご夫婦が話しかけてきた。 「そう、キベリタテハも随分少なくなりました」 そう言いかけて、「そうですね。ヤナギランが咲いていない」 と、ぼくはちょっと寂しそうに答えた。 |
キベリタテハ (2022年8月19日 群馬県嬬恋村) |
キベリタテハ (2022年8月19日 群馬県嬬恋村) |
キベリタテハ ( 2023年8月3日 栃木県日光市) |
キベリタテハ ( 2023年8月3日 栃木県日光市) |
キベリタテハ (2021年8月27日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2021年8月27日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2021年8月27日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2019年9月6日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2019年9月6日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2019年9月6日 山梨県鳴沢村) |
キベリタテハ (2008年8月12日 山梨県甲州市) |
ヒメギフチョウの季節、入笠山に行った。 林道には厳しい冬を越した蝶たちが活発に飛んでいた。 キベリタテハ、エルタテハ、スジボソヤマキチョウ…。この日 はクジャクチョウとシータテハの姿は見えなかった。 越冬後の蝶たちの翅の痛み具合がそれぞれ違うのは何故 なのだろうか。 キベリタテハは秋の個体とあまり変わらないのに、スジボソ ヤマキはぼろぼろに翅が痛んでいる。 特にスジボソヤマキの翅にはしみのようなものがついた個体 が多い。ぼろぼろになった翅を必死で動かし、スミレの花など で吸蜜しているのだ。 それと比べると、キベリタテハは林道の真ん中で翅を休め、 人が近づくと悠然と舞い上がり、興味深そうにぼくのまわりを ゆっくりと旋回するのだった。 |
キベリタテハ (2009年5月11日 長野県入笠山) |
キベリタテハ (2010年8月8日 山梨県甲州市) |
キベリタテハ (2010年8月8日 山梨県甲州市) |
キベリタテハ (2010年8月8日 山梨県甲州市) |
キベリタテハ (2012年8月28日 長野県小諸市) |
キベリタテハ (2015年9月5日 山梨県甲州市) |
ツマジロウラジャノメを探しに出かけた。 いつものように息子夫婦と一緒だったが、残念ながら出会うことは出来 なかった。 それにしても秋の蝶の少なさは悲しくなるほどだった。 この時期、ここの林道ではキベリタテハがたくさん飛んでいるはずだが 出会えたのはたったの1頭だった。定番のクジャクチョウやエルタテハ もまったくいなかった。 あとはスジボソヤマキチョウとミヤマカラスアゲハ、アカタテハだけ。 イチモンジセセリだけがアザミなどに群れていた。 ことしはキベリタテハが大不作という話を聞くが、本当だった。 蝶の写真を撮っていた親子にキベリがいた場所を教えると、飛んで行っ た。 花は咲いていても蝶のいない秋はとても寂しい。 来年はどうなってしまうのだろう。 今日は12日ぶりの晴れ間だった。本当に久しぶりの天気だ。また、 明日からはずっと雨が続く。蝶には受難の秋の長雨だ。 帰り際ブドウ園に寄るとここだけは観光客であふれていた。 試食のブドウをつまむと果汁があふれとてもおいしかった。 |
キベリタテハ (2015年9月5日 山梨県甲州市) |