リュウキュウウラボシシジミ


 リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2016年11月7日 沖縄県西表島)
 最近の蝶界の大きなニュースは石垣島でリュウキュウウラボシシジミ
 が再発見されたことだろう。
 2016年5月25日、豊橋市のMさんがガイドのIさんと探索中、ちらち
 ら飛ぶ小さな蝶を見つけた。止まったところを撮影したところ、なんと
 リュウキュウウラボシシジミだった。ふたりともとても興奮したという。

 この蝶は1970年台まで石垣島に生息していた。しかし、その後まった
 く見られなくなった。もう石垣島には生息していないのではないかと言わ
 れていた。

 この蝶は飛翔力も弱く、いわゆる迷蝶のようにどこからか飛来して一時
 的に棲みつくという蝶ではない。
 じっと石垣島のどこかでひっそりと命を繋いでいたのだろう。

 その後、地元のKさんが2頭採集、さらに1、2頭採集されているようだ
 が、夏以降は見られない。

 また、どこかでひっそりと命を繋ぎ、生き延びて欲しいものだと思う。 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2016年11月7日 沖縄県石垣島) 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2016年11月7日 沖縄県西表島)
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2011年12月3日 西表島)
 
 35年ぶりの西表島再訪の目的はリュウキュウウラボシシジミと
 会うことだった。

 一緒に出掛けた妻には「ガンの手術後の静養が第一」とは言っ
 てあるが、少し無理してもこの蝶と会いたかった。

 仲間川の大富林道に入る。
 石垣島のガイドの入野祐史さんから「この蝶のポイントは○○○○
 の聞こえるところなんです」と教えてもらった。

 でも、大富林道は林道沿いのセンダングサがきれいに刈り取ら
 れて、花がまったくない。これではリュウキュウウラボシシジミの
 吸蜜源がないではないか。

 間もなく、ちらっと頭の上を横切った蝶がいた。

 「あっ、いた」

 でも、ちらちら飛ぶばかりでまったく止まる気配がない。やがて
 梢の上高く姿を消してしまった。

 そんなことを繰り返しているうちにやっと葉に止まってくれる蝶
 がいた。ちょっと離れているが、なんとか撮影出来た。

 これで今回の旅行の目的は達したようなものだ、とうれしくなった。
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2011年12月3日 西表島)
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2011年12月3日 西表島)
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2011年12月3日 西表島) 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2013年10月27日 沖縄県西表島)
 
 純白の地紋のポツンと黒い点。リュウキュウウラボシシジミは愛らし
 く、とても小さな蝶である。沖縄では西表島と沖縄本島の限られた地
 域にひっそりと生息している。

 対馬にいるのはツシマウラボシシジミと呼ばれ、これはもう絶滅に近
い状態にある。

 友人ご夫妻たちと再び、西表島を訪れる機会があった。
 仲間川の林道に入ったが、時間があまりなく、この蝶の生息地まで行
 くのは無理だった。由布島を観光し、昼食をとって、さあどうするか。

 ご婦人たちは星砂の浜辺などいろいろ観光したいのだろうが、無理を
 言って、もう一度仲間川に戻ってもらった。

 林道を急ぎ足で奥に入る。
 あんまりせっかちだったのか、肝心の生息地を過ぎてもリュウキュウウ
 ラボシシジミが見当たらない。だんだん焦って来た。

 もう一度、林道を戻ってみた。
 ちょうど、奥方たちが生息地の近くにいた。

 「後ろにいるわよ。あなたのすぐ後ろ」
 振り返ると、ちらちらとリュウキュウウラボシシジミが飛んでいた。

 それを機会にあちこちから小さな蝶たちが舞い始めた。
 とっても嬉しい再会だった。 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2013年10月27日 沖縄県西表島)
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2013年10月27日 沖縄県西表島)
 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2014年10月18日 沖縄県北部)
 
 この蝶は西表島と沖縄本島にだけ生息している。
 沖縄本島もやんばるとよばれる北部の限られた地域のみだ。

 ここ数年、沖縄の自然は随分変わってしまった。訪れる度に林道が
 拡幅、整備され良かったポイントが跡形もなく無くなっている。南部の
 斎場御嶽の周辺もかっては県道からの道はハイビスカスが咲き、ツ
 マベニチョウが群れていたが、ハイビスカスがきれいに無くなっていた。
 駐車場の周辺もオオゴマダラやツマムラサキマダラが沢山いたが、
 今はただの駐車場だ。

 やんばるも例外ではない。道端のセンダングサが刈られ蝶の姿はめ
 っきり少なくなっていた。その上、2週続きの大型台風の襲来が追い
 打ちをかけていた。

 長く林道を走り、小さな沢の出会いに着くと小さな、小さなこの蝶が待
 っていてくれた。特徴ある飛び方からすぐに分かった。

 この1頭と出会えただけで満足だったが、息子夫婦や妻が「ここにもい
 るよ」と次々見つけてくれた。見渡すと、沢の出会いにちらちら、ちらち
 ら舞う蝶の姿がいくつも見られた。

 ここだけは台風の影響も受けず、別天地のようだった。開発の被害を
 受けずに何とか残って欲しいと願った。 
リュウキュウウラボシシジミ
リュウキュウウラボシシジミ
(2014年10月18日 沖縄県北部) 
 


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