ベニモンカラスシジミ
ベニモンカラスシジミ♀ (2018年5月27日 長野県飯田市) |
古いノートをひっくり返してみると、昭和53年11月12日に南信濃村に 友人4人と出かけた記録が残っていた。ベニモンカラスシジミの冬季採 卵に出かけたのだ。曇り空だったが、沢の斜面を歩き回り、クロウメモ ドキから14卵を採卵出来た。良く春、飼育した個体から美しいベニモン が羽化した。それ以来庭にクロウメモドキを植え、何度か飼育をした。 ある時庭の手入れに入った造園業者がクロウメモドキをバサバサ剪定 してしまい、それが原因で枯れてしまった。 ことし南信濃を40年ぶりで訪れた。すっかり様変わりしていて、どこで 採卵したのかまったく分からなかった。事前にご好意で環境を教えてく れる方がいて何とか発生地にたどり着いた。 カメラマンと採集者がいたが、いつまで待っても姿を見ることが出来な い。昔の記憶を頼りに近くを車で探索してみたが、やっぱりダメでもう一 度戻って来た。すると黒い蝶が林の中を飛んでいる。どうやらメスが産 卵場所をさがしているようだった。やっと出会いが叶った瞬間だった。 カメラマン3人に連絡皆で撮影したのだった。 |
ベニモンカラスシジミ♀ (2018年5月27日 長野県飯田市) |
ベニモンカラスシジミ♀ (2018年長野県飯田市) |
ベニモンカラスシジミ♀ (2018年5月27日 長野県飯田市) |
ベニモンカラスシジミ♀ (2018年5月27日 長野県飯田市) |
(2008年4月22日 飼育羽化・岡山県産) |
昭和32年、ベニモンカラスシジミが四国の皿ヶ峰で発見された というニュースは蝶界に大きな衝撃を与えた。 当時はまだ、ゼフィルスの生態解明がさかんな時で、その中で 「新種発見」の一報は瞬く間に全国を駆け巡った。 この蝶の食樹であるクロウメモドキは石灰岩質の土地に生育し ていることから、国土地理院の2万5000分の1の地図を片手に、 あちこちでクロウメモドキ探しが過熱した。 その後岡山県でも見つかり、南信濃、和歌山、奈良などにも分 布していることが確認された。 アゲハチョウ科にカラスアゲハとミヤマカラスアゲハがあるように シジミチョウ科にもカラスシジミ、ミヤマカラスシジミ、それにこの ベニモンカラスシジミがある。 翅の表はカラスシジミもミヤマカラスシジミも無地の暗褐色だが、 ベニモンカラスは赤っぽい斑紋が入っていて、見分けるのは容 易である。 採卵のため、剪定バサミを使ってクロウメモドキをバチバチ切る マニアも多く、どこもクロウメモドキが消滅の危機になっている。 皿ヶ峰ではベニモンカラスシジミは絶滅したという。 過度の採卵、食樹の剪定は慎みたいと思う。 |
(2008年4月22日 飼育羽化・岡山県産) |
(2008年4月22日 飼育羽化・岡山県産) |