アイノミドリシジミ
アイノミドリシジミ (2007年7月27日 長野県軽井沢町) |
梅雨の晴れ間、ゼフを求めて散策するのはとても気持ちが いい。 滝つぼのそばに座って、飛沫を浴びながら思いっきり大気を 吸う。心が洗われたような気分になる。 見上げると大樹に囲まれてぽっかりと青空が広がり、そこか ら燦燦と太陽が差し込んでくる。 ぼくの周りにはさっきからコムラサキとミスジチョウがゆったり と舞っている。金曜日の昼間、誰もいない。 ぼくと蝶たちとの時間が流れているだけだ。 時折、エメラルド色の翅をきらめかしながら2頭の小さな蝶が もつれ合うように飛んでくる。2頭はまるで戦闘機が戦うように 激しく争い、分かれていく。 アイノミドリシジミだった。 テリトリーを張っていて、そこに入ってくる”敵”を追い払ってい るのだ。 虹のようになって流れる滝の飛沫を浴びながら、”空中戦”を 飽きもせず眺めていた。 もうすぐ、梅雨も明けるのだろう。 |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2019年6月20日 富山県南砺市) |
アイノミドリシジミ (2021年7月12日 群馬県高崎市) |
アイノミドリシジミ (2009年6月25日 山梨県北杜市) |
アイノミドリシジミ (2009年6月25日 山梨県北杜市) |
この蝶を観察するには早朝の行動が必要になる。 日の出とともに活発に活動を始め、午前10時頃になるとピタッ と姿が見えなくなってしまうからだ。 車の運転ができず、電車とバス専門のぼくはどんなに早起きし ても、現地に着くと9時過ぎになってしまう。 この日も林道のぽっかりと開けた発生地にたどり着いたのは9 時半になっていた。 高い木の上でオスがさかんに飛んでいた。自分のテリトリーに他 のオスが侵入してくると、追飛して追い払う。 見ていると夢のように美しいが、シャッターチャンスはなかなか訪 れない。 日が昇って、かなり暑くなってきた。 30分ほどたったろうか。一頭のオスがひらりと地面に舞い降りた。 ちょっと湿った林道でどうやら吸水をするらしい。 カメラを向けると、パッと飛び上がり、近くの葉の上に止まった。 脅かさないようにじっとして待っていると、やがてゆっくりと翅を広 げ始めた。朝日を浴び、どきっとするほど美しい。 エメラルド・グリーンの翅がきらきらと輝いていた。 |
アイノミドリシジミ (2009年6月25日 山梨県北杜市) |
アイノミドリシジミ (2009年6月25日 山梨県北杜市) |
アイノミドリシジミ (2013年7月22日 長野県南牧村) |
昔ながらの古い道に入ると、ゼフィルスがちらちらと飛んでいた。 日差しが暖かく射し込み、穏やかな空気が漂っている。 ゼフたちはそんな空間が大好きだ。 梢の枝先に止まっていたアイノミドリシジミが突然猛スピードで発進 し、もう一匹を追いかける。 縄張りに入って来た侵入者を許さないのだ。 2匹はもつれあうように、くるくると空中戦を展開する。 エメラルド色の翅がきらきらと輝いて、この上なく美しい。 しばらくそんな蝶たちを観察していると、こんどは道路上に次々と 降り始めた。こちらにも、あちらにも舞い降りた蝶たちがいて、翅を 広げたりする。 車が通るとさっと逃げる。 こんな習性を見たのは初めてだった。 しばらく道で遊んでいたアイノミドリシジミたちは間もなく、ブッシュの 中に潜り込んで姿が見えなくなった。 一時の幻を見ていたかのようだった。 |
アイノミドリシジミ (2013年7月22日 長野県南牧村) |
アイノミドリシジミ (2013年7月22日 長野県南牧村) |
アイノミドリシジミ (2013年7月22日 長野県南牧村) |
アイノミドリシジミ (2013年7月22日 長野県南牧村) |
アイノミドリシジミ (2020年7月10日 北海道札幌市) |