クロセセリ
クロセセリ (2016年2月22日 沖縄県石垣市) |
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保田万太郎のこの俳句がいつも心の隅に残っている。好きな俳句の ひとつということになるのだろう。 自分も妻もガンになって「いのちのはて」ということを意識させられるよう になった。これはガンという病気になって初めて分かる感情だろう。 そんな時、ことしになってわずか1か月の間に、高校の同級生2人の訃 報が届いた。中でもH子さんの突然の死には驚かされた。 高校時代H子さんは活発な女性で、僕らの高校のマドンナ的な存在だっ た。ブルマー姿でグランドを駆け抜けるさまは多くの男子高校生の憧れ の的でもあった。 官僚のご主人と結婚、ロシアやイタリアなど海外経験も長く、ますます洗 練され、帰国後はシニアのボランティアの活動もやっていた。夫妻とは2 回ほどゴルフでご一緒したことがあったが、華やぎ、明るさは変わらなか った。ゲイバーに行った時には、そこで働いている男の子たちに「あんた たちしっかりしなさいよ」と喝を入れていた。 いくつか病気を持っていたのは知っていたが、こんなに早く亡くなるとは 思いもしなかった。ガンの僕が生き残っていて、闘病を励ましてくれた友 人が先に逝く。無常だが、それも人生なのだ。 冬の夜、夕食に湯豆腐を食べた。 立ち上る湯気の向こうに、おぼろな薄明かりがあり、黒い着物を着た女 性の姿が一瞬だが、幻のように浮かんだ。 そういえばクロセセリも黒い喪服をまとった気品のある女性のようにも見 える。 |
クロセセリ (2022年11月10日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2022年11月10日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2017年9月21日 徳島県海陽町) |
クロセセリ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2016年2月22日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2010年3月15日 沖縄県石垣市) |
ずうっと昔を除けば、石垣島の蝶の観察は昨年の秋に続いて 2度目になる。”人徳”のないせいか、どちらもあまり天気に恵 まれないのはちょっと残念だった。 それでも蝶たちが出迎えてくれたのは幸せだった。 セセリチョウの中ではクロセセリが一番目についた。 前翅に大きな白い紋があり、すぐに分る。 関東近辺で言えば、ダイミョウセセリもこんな感じで見分けが つく。 しばらく前までは分布は九州までだったが、このところ急速に 北上を続け、最近は京都辺りから報告が相次いでいる。 温暖化と関係があるのか、他の要素もあるのか、はっきりとは 分っていない。 |
クロセセリ (2012年4月2日 沖縄県名護市) |
クロセセリ (2010年3月14日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2010年3月15日 沖縄県石垣市) |
クロセセリ (2014年10月18日 沖縄県国頭村) |
クロセセリ (2015年5月9日 沖縄県石垣市) |