マルバネルリマダラ
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
少し早くホテルを出た。林道のカラスザンショウの花場に着いたのは 8時半過ぎだった。いつもなら長い網を持った採集者が待ち構えてい るのだが、天気が悪いのと時間が少し早かったためだろうか、誰もい なかった。 花場を見上げると、ヤエヤマカラスアゲハ1頭とイシガキチョウくらい しか蝶がいなかった。秋のこの季節花場には沢山の蝶が群がってい る。それが寂しいほど蝶が少なかった。 ヤエヤマカラスアゲハを相手にシャッターを切っていた。 しばらくすると黒い影がちらりと動いた。カラスザンショウの陰に隠れ てすぐに確認出来なかったが、すぐにこちら側に移動して来た。 紛れもなくマルバネルリシジミだった。マルバネはかってほど希少性は なくなったが、やっぱり出会いはうれしく、胸が高鳴る。 ぼくは一生懸命シャッターを切った。翅を開くと独特のブルーが輝き美 しかった。 やがてマルバネはどこともなく飛び去って行った。その間、わずか5分 くらいの時間だった。短いがとても幸せな瞬間だった。 |
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2017年10月13日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月6日 沖縄県石垣市) |
石垣島や西表島、与那国島には多くの迷蝶ハンターたちが訪れる。 昨年は6月頃から夏にかけて、カワカミシロチョウがそれこそ、数万頭 という単位で、やって来た。見る蝶、見る蝶、白い蝶はほとんどカワカミ シロチョウだったという。普通ならこのまま定着すると思われるが、秋に なるとその姿はパタッと消えてしまう。 ぼくが10月に訪れた時は、すでに遅し、カワカミシロチョウを見ること は出来なかった。 ことしはジャノメタテハモドキやイワサキコノハが採集されたという話を きいたが、めぼしいものはいないようだ。 ハンターたちの中には、毎週のように石垣島にやって来る人もいる。 病が高じて、石垣島に移住してしまう猛者もいる。 迷蝶が少ない中、ことしはマルバネルリマダラがそこそこ見られた。 ハンターたちに交じって、ハマセンダンの花場でマルバネルリマダラを 撮影するのはなかなか至難の業である。 |
マルバネルリマダラ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月8日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2016年11月6日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2015年10月14日 沖縄県石垣市) |
2週間前、81メートルを超す暴雨風が襲来した八重山の島々はどこ も蝶が少なかった。センダングサなどの花々も風の影響でほとんど無 くなっていた。 辛うじてこの時期咲き始めたハマセンダンやカラスザンショウの木々の 花に蝶たちが集まって来る。 珍しい迷蝶たちもいることがあるというので、6メートルもある長い網を 持った愛好家がその下で陣取っていて、カメラマン泣かせでもある。 首が痛くなるほど木の梢の花を見上げていると、赤い網を持ったAさん が「あっ、マルバネルリマダラが来ましたよ」と教えてくれた。カメラを構 えて数カット写真を撮ると、「いいですか」と、赤い網が一閃した。 網の中には瑠璃色の翅がまばゆい蝶がはかなげに揺れていた。 僕がシャッターを切るまでのわずかな時間を待ってくれたのはAさんの 善意だった。ちょっと複雑な気持ちでもあった。 |
マルバネルリマダラ(右はツマムラサキマダラ) (2015年10月14日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2015年10月14日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ (2015年10月14日 沖縄県石垣市) |
マルバネルリマダラ(左)とツマムラサキマダラ(右) (2015年10月14日 沖縄県石垣市) |
採集されたマルバネルリマダラ |