オキナワカラスアゲハ
オキナワカラスアゲハ (2011年10月20日 沖縄・久米島) |
ひかり野へ君なら蝶に乗れるだろう 折笠美秋 新聞記者だった折笠は筋萎縮性側索硬化症という難病にかかり、歩行 が出来なくなった。声も出せなくなり、闘病を続けながら句作をした。 夏の初め、ぼくは突然ガンの宣告を受けた。進行性で、リンパ節への転 移の危険性もあるということだった。 余命は後どのくらいあるのだろうか。とにかく前向きに生きていくしかな いと思った。 出来るだけ蝶たちとの出会いを楽しみたい。体をなるべく回復させて、 まず、春のギフチョウからだ。 そう思いながら沖縄・久米島で静養した。 退院から1か月半だった。 息子からは「まだ、無理だよ」と止められたが、妻と二人旅立った。 林道をゆっくり歩いているとオキナワカラスアゲハと出会った。 この時期あまり数は多くないようだったが、うれしい出会いだった。 |
オキナワカラスアゲハ (2012年4月1日 沖縄県今帰仁村) |
オキナワカラスアゲハ (2017年4月12日 沖縄県名護市) |
僕が参加している句会が4月8日に深川の小料理屋であった。 3月21日に開花した東京の桜はなかなか満開にならず、句会が開か れた日がちょうど満開だった。2階の窓からは大横川の桜が匂うよう に咲き、それはみごとだった。 句会は今回がちょうど100回目だった。それを祝うようでもあった。 100回を記念してプレゼントの交換をやろうということになり、それぞ れ100円ショップで買ったものを持ち寄るという洒落た趣向もあった。 今回の兼題は「手」。 僕の投稿した5句のうち「手に残る 蝶の命の果てる時」が天になった。 昔蝶の採集をしていた頃、捕虫網で捕まえた蝶の胸を押して殺す。そ れを得意そうに三角紙に入れる。その時の指の感触は今も残ってい る。アゲハやオオムラサキなどは蝶の胸をぎゅっと押しても、なかなか 死んではくれない。ある時はドキッ、ドキッという鼓動まで伝わって来た。 その思いを詠んだものだ。 宗匠は欠席だった。尿管がんで手術をしたということだった。 次回は元気で顔を見せて欲しいと願った。 (2017年4月) |
オキナワカラスアゲハ (2017年4月12日 沖縄県恩納村) |
オキナワカラスアゲハ (2017年4月12日 沖縄県恩納村) |
オキナワカラスアゲハ (2017年4月12日 沖縄県恩納村) |