北海道蝶の旅


エゾシロチョウ
エゾシロチョウ
雨、雨の北海道だった。
北海道には梅雨がない、という。それが梅雨の北海道だった。「こんなこ
とは初めてだ」と地元の人は言う。ついてないなあ。でも、天気を恨んで
も仕方がない。
それでも日差しが少しあると、それまで姿を隠していた蝶がどこからか
姿を見せ舞い始める。蝶好きにはたまらない光景だった。

クマとの接近遭遇もあった。これにはびっくりした。さすが北海道だ。
オオイチモンジのいる林道にはどこからクマが出てきてもおかしくない。
観察には十分気をつけて頂きたい。
コヒオドシ
コヒオドシ
旭川空港から層雲峡に向かった。
途中の国道273号の道路沿いにコウリンタンポ
ポの群落があった。
曇っていた空がわずかに明るくなってきた。

コヒオドシやクジャクチョウ、ベニヒカゲが舞って
いた。もう少しするとクモマベニヒカゲも発生す
るそうだ。

本州では高山にいかないと見られない。
そんな蝶が道路わきのちょっとした花園で遊ん
でいる。
クジャクチョウ
クジャクチョウ
ベニヒカゲ
ベニヒカゲ
コウリンタンポポ
コウリンタンポポ
ムラサキツメクサ
ムラサキツメクサ
夏の短い季節、北海道では花々
が一斉に花をつける。花園は厳
しい雪の季節を生き抜き、羽化し
た蝶たちの憩う場所になる。


ハマナス
ハマナス
クサフジ


オオイチモンジ
オオイチモンジ
オオイチモンジは優美な蝶だ。本州では上高地や北アルプスなど局限さ
れた地域にしか生息していない。だから、マニア垂涎の蝶だ。
そのオオイチモンジが今、危機に瀕している。

層雲峡周辺の林道にはものすごい数の採集者が入っていた。沢の開け
た場所や橋の傍には採集者が早朝から場所取りをし、陣取りをしてい
た。リンゴやバナナを焼酎につけ発酵させたトラップをあちこちに仕掛け
ると、その匂いにオオイチモンジがやってくる。

どのポイントもポイントも採集者がいて、近寄りがたい雰囲気だ。
最近は道内のマニアがインターネットなどの売買目的に連日トラップで
採集しているのだという。

ことしは梅雨の影響で発生が遅れメスの姿は見られなかった。

オオイチモンジの優美な姿がいつまでも見られることを願った。
イチモンジチョウ
イチモンジチョウ
カラフトセセリ
カラフトセセリ
カラフトセセリは1999年滝上町で発見された。
北米から輸入された牧草に紛れて入ってきたの
ではないかと言われている。
この蝶の発生地のすぐ近くで思わぬことに遭遇
することになるとは…。
コキマダラセセリ
コキマダラセセリ

クマ カラフトセセリの発生地から数百メートルの所
だった。
クマが道路わきにいるのに気づいた。
その距離わずか5,6メートルの接近遭遇。
どうやらまだ子グマのようだ。こちらの様子をじ
っとうかがっている。
子グマということは近くに母グマがいるということ
だ。心臓がバクバクしてきた。
2、3分。子グマはゆっくりとブッシュの中に姿を
消していった。
クマ クマ
シカ
北海道はやはり野生の国だ。
クマと出あったと思ったら、今度はシカと遭遇した。こちらは愛らしい表
情でじっとこちらを見ている。まあまあ、安全だ。
シカやキタキツネには何度か出会った。ある場所でキタキツネが車が
通るとすっと近寄って行くのには驚いた。餌をやるドライバーがいるの
だろう。かわいらしい姿だがハラハラした。
ホソバヒョウモンの交尾
ホソバヒョウモンの交尾
ことしはヒョウモンが少なかった。
ホソバヒョウモン、ミドリヒョウモンが目についた
程度だった。稀にカラフトヒョウモンがいた。
その中で目立ったのはホソバヒョウモンだった。
シロオビヒメヒカゲ
シロオビヒメヒカゲ
天候に恵まれず、蝶の発生も少なかった。
しかし、それでも楽しい北海道蝶の旅だった。
また、いつか機会があったらやって来たいと
思った。

               (2009.7.24〜7.27)

ホソバヒョウモン
ヒメウスバシロチョウ
ヒメウスバシロチョウ


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