オオムラサキ


 オオムラサキの♂(下)と♀(上)
オオムラサキ(下♂ 上♀)
(2013年7月23日 長野県上田市)

   横浜に希望が丘というところがある。

   今は大規模な団地が開発されて都市化されているが、以前
   その辺りは畑と雑木林が広がってゼフィルスのかっこうの
   生息地だった。

   相鉄線の希望が丘駅からしばらく歩くと、畑になりそこを
   突っ切って行くと、雑木林の池があった。

   歩いていると、突然、頭の上を黒い影が横切った。

   あわてて、捕虫網を振ると、ばさばさと音がして、鳥を捕ま
   えたのかと、一瞬思った。

   よく見ると、白いネットの中で、紫色に輝く羽が輝いていた。

   まぎれもなくオオムラサキのオスだった。

   胸を押して三角紙に入れようと思ったが、心臓がどきどきし
   てなかなかうまくいかない。指も震えていた。

   やっとネットから取り出すと、三角紙からあふれるほどの大
   きさだった。

   少年の切ない思い出のひとこまである。
 オオムラサキ♀
オオムラサキ
(2023年7月28日 群馬県桐生市)
 オオムラサキ♀
オオムラサキ
(2023年7月28日 群馬県桐生市)
オオムラサキ
オオムラサキ
(2023年7月5日 北海道札幌市) 
 オオムラサキ
オオムラサキ♂
(2021年6月28日 千葉県千葉市)
 オオムラサキ♂
オオムラサキ♂
(2021年6月24日 千葉県千葉市)
 オオムラサキ♀
オオムラサキ♀
(2020年7月2日 埼玉県武蔵嵐山町)
オオムラサキ
オオムラサキ
(2013年6月23日 山梨県北杜市)
 
オオムラサキ
オオムラサキ
(2013年6月23日 山梨県北杜市)
 
オオムラサキ
オオムラサキ
(2013年6月23日 山梨県北杜市)
 
オオムラサキ(オス)
オオムラサキ(オス)
(2006年8月2日  山梨県日野春)

   中央線で韮崎を過ぎると、穴山、日野春、長坂と素朴な駅
   が続く。

   かってこのあたりは雑木林が続き、オオムラサキの大産地
   だった。

   雑木林の小径に入り、古いクヌギのごつごつとした大木の
   樹液にはオオムラサキがいっぱい群れていた。

   カナブンやクワガタを押しのけるようにしてオオムラサキが
   樹液を吸っていた。

   数年前だったが、長坂の白樺清春美術館に画を見に行っ
   たとき、近くを散歩していると、目の前のエノキの小枝にオ
   オムラサキの大きなメスがやってきて、翅を広げてくれたの
   には感激した。

   久しぶりに、オオムラサキに会いたい。

   そう思って日野春にやって来た。

   随分開け、アスファルトの自然散策路が整備されている。

   オオムラサキは高い梢を悠々と飛んでいたが、降りて来て
   はくれない。

   昔のようにはいかないようだ。

   帰りがけにオオムラサキの研究センターに寄ってみた。

   わずかにオオムラサキがいて、やっと会うことができた。
 オオムラサキの求愛(下♂、上♀)
オオムラサキの求愛(下♂、上♀)
(2013年7月23日 長野県上田市)
カメラを見つめるオオムラサキ
カメラを不思議そうに見つめるオオムラサキ
(2006年8月2日  山梨県日野春)
オオムラサキ
オオムラサキ
(2008年8月19日 東京都八王子市)
   お盆を過ぎてもう季節は秋に移りかけている。

   セミ時雨の中でカナカナというヒグラシの鳴き声を聞いた。
   どこか涼しげで、アブラゼミの暑苦しい鳴き声と比べると
   移りゆく季節のはかなさのような気配も感じる。

   オオムラサキは6月末から発生し盛期は7月だが、立秋
   も過ぎたこの時期にまだ元気に飛び回っていた。

   クヌギの樹液を吸い、時折り飛び立つ。

   その姿は雄大で、感動的でもある。

   翅はかなり古くなっていたが、蝶の王様の風格は失ってい
   ない。

   オオムラサキの姿を見ると、やはり胸が高鳴るものがある。
オオムラサキ(♀)
オオムラサキ(♀)
{2013年7月23日 長野県上田市)
 
オオムラサキ
オオムラサキ
(2008年8月19日 東京都八王子市)
オオムラサキ♂
オオムラサキ♂
(2009年7月7日 山梨県北杜市)
ことしは雨が多い。

梅雨に入ってから梅雨の晴れ間というのがあまりない。

やっと10日ぶりに太陽が顔を覗かせるというので、オオムラサキ
に会いに出かけた。

ゼフィルスの季節がそろそろ終盤に入ると、オオムラサキの登場
だ。クヌギ林を飛び交うこの蝶は勇壮で、近くを飛ぶと耳元に翅の
音が聞こえてくる。

しかし、不順な天気のせいだろうか。クヌギ林の樹液の出がことし
はあまり良くないようだ。

カミキリムシが木の幹に穴を掘って、卵を産む。夏になって成虫が
羽化して出てくると、そこから樹液が湧き出すのだ。

近くに木材の切り出し場があって、そこの細かな廃材にオオムラサ
キがやって来ていた。

早く夏がやってくるといいなあ。

                      (2009年7月)
オオムラサキ
オオムラサキ
(2009年7月7日 山梨県北杜市)
オオムラサキ♂
オオムラサキ♂
(2009年7月7日 山梨県北杜市)
オオムラサキ♀
オオムラサキ♀
(2015年7月19日 長野県上田市)

オオムラサキの求愛
オオムラサキの求愛(右♀、左♂)
(2015年7月19日 長野県上田市)
 


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