コミスジ


コミスジ
コミスジ
(2007年8月13日 長野県軽井沢)

   我が家の愛犬「はな」は甘えん坊だとよく言われる。

   12歳だからもう相当なおばあさんなのだが、小さなこども
   と美人(?)の若い女の人が大好きで、こどもがいると尻尾
   を振って近寄って行く。

   近所の保育園の園児は保母さんに連れられて散歩をするのが
   日課だが、必ず我が家に立ち寄って「はなちゃん」「はなちゃ
   ん」と遊んでいく。

   いまは赤土の造成地になってしまったが、船橋の坪井という
   ところは自然の樹林が広がるいい環境で、「はな」はここを
   自分の別荘と思っていた。

   ここにはコミスジがたくさん飛んでいた。近くのこどもたち
   が虫取りの網と虫かごを持って、いつもトンボや蝶を捕まえ
   ていた。

   すいすいと飛ぶコミスジはこどもたちの人気の蝶だった。

   「はな」はこどもたちが歓声を挙げて蝶を追いかけると、一
   緒になってコミスジを追いかけていた。

   そこには自然と人間と動物が楽しく共存していた。

   ブルドーザーがあっという間にこの樹林を開発し、人間の身
   勝手が作り上げたのは、コミスジも棲まないただの荒地だっ
   た。

   「はな」はもう坪井には行きたがらない。コミスジを追いか
   けた日々ははなにとっても、思い出のひとコマになってしま
   ったのだろうか。
 コミスジ
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(2016年4月22日 千葉県千葉市)
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(2015年4月25日 千葉県千葉市)
 
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