アカタテハ


アカタテハ
アカタテハ
(2009年10月14日 沖縄県石垣市)
  石垣島から帰ってきてテレビを見ていたら、フィギュア・スケート
  を放映していた。

  銀盤の熱い戦いがもう始まっているのだった。

  残念ながら韓国のキム・ヨナ選手に大差で敗れてしまったが、
  浅田真央選手のコスチュームを見ていて、アカタテハを思い浮か
  べた。

  フィギュア・スケートが好きでよくテレビを見るのだが、衣装や音
  楽の選び方がとても重要だと思う。

  去年は安藤美姫選手と中野友加里選手がバレエ音楽の「ジゼル」
  を使っていた。

  しかし、中野選手が村娘ジゼルが村にやってきたアルブレヒトと
  恋に落ち、幸せいっぱいの場面の音楽だったのに比べ、安藤選
  手はアルブレヒトが実は貴族の青年で婚約者がいることを知って
  ジゼルが狂乱の中で息絶えるところだった。

  中野選手が踊ると音楽は明るく、盛り上がり観客の拍手が起こる。
  反対に安藤選手はドラマチックではあるが少し暗い。シーズン途中
  から安藤選手は音楽を変更していた。

  浅田真央選手の音楽は荘重だがむつかしい。

  アカタテハのように華麗に明るく舞ってほしいと願ったのだ。
 アカタテハ
アカタテハ
(2019年9月2日 長野県南佐久郡)
 アカタテハ
アカタテハ
(2019年9月6日 山梨県鳴沢村)
 アカタテハ
アカタテハ
(2017年7月15日 北海道函館市)
 アカタテハ
アカタテハ
(2015年9月5日 山梨県甲州市)
 アカタテハ
アカタテハ
(2018年9月17日 千葉県印西市)
 アカタテハ
アカタテハ
(2018年10月25日 千葉県船橋市)
 アカタテハ
アカタテハ
(2013年10月28日 沖縄県石垣市)
アカタテハ
アカタテハ
(2009年3月19日 千葉県千葉市)

アカタテハ
(2007年4月12日  東京都裏高尾)

  こどもの頃はアカタテハをよく見かけたものだが、最近はヒメ
  アカタテハの姿はよく見るが、アカタテハは見かける機会がぐ
  っと減ってしまった。

  春の一日、裏高尾をぶらぶら歩いてみた。

  スギタニルリシジミやコツバメ狙いの散策だったが、この日は
  気温が低く、蝶の影はまったくなかった。

  歩き疲れてもう帰ろうと林道をとぼとぼ歩いていると、アカタテ
  ハの産卵にぶつかった。

  他の蝶が活動していないのに、アカタテハのメスは一生懸命
  こどもを残そうとがんばっている。

  なにか感動して、野草の葉を捜してみると緑色の小さな卵が葉
  裏にぽつんぽつんと産みつけられているのだった。

  なんとか生き延びてまた蝶になって飛び立っておくれと、願わ
  ずにはいられなかった。
産卵中のアカタテハ
産卵するアカタテハ
(2007年4月12日  東京都裏高尾)

アカタテハ
アカタテハ
(2011年10月20日 沖縄・久米島)
 
 アカタテハ
アカタテハ
(2012年8月29日 長野県上田市)
アカタテハ
アカタテハ
(2008年7月10日 千葉県白井市)
   日本の気候がなにやらおかしい。
   3月末に歩いた時はギフチョウが元気良く舞い、林道では
   越冬したテングチョウが沢山飛んでいた。

   それが4月に入ってからの厳しい寒さで、蝶の姿がめっきり
   減って4月も5月も、どうも寂しい。

   この日も晴れてはいるが、風が冷たい。裏高尾を歩いてい
   たがあれだけ飛んでいたテングチョウさえみることができない。

   蝶はどこへ行ってしまったのだろうか。

   昼過ぎ、もう引き揚げようととぼとぼ歩いていると、アカタテハ
   がヤブマオに産卵しているのを見つけた。

   ヤブマオの新葉に緑色の小さな小さな卵が産み付けられて
   いた。
アカタテハの幼虫
アカタテハの幼虫
アカタテハの蛹
アカタテハの蛹
   アカタテハの卵を持ち帰って飼育してみた。

   ヤブマオの葉を綴って巣をつくる。

   問題はヤブマオの水揚げが悪く、すぐ枯れてしまうことだ。
   どうせ、どこにでもあるだろうと思っていたが、自宅近くでは
   どこにも見ることができない。困った、困った。

   やむを得ずヤブマオ取りにわざわざ裏高尾へ出かけた。

   新鮮な食草を補給してやると、食いつくように食べる。
   よっぽど腹が減っていたのだろう。

   妻が「よかったね。かわいいねえ」と見ている。

   産卵からちょうど1ヵ月後の5月11日、プラスチックの箱の
   蓋にぶら下がるように2匹の幼虫が蛹になった。

   12日、残りの1匹がヤブマオの茎で蛹になった。

   茎が腐るので、セロテープで蓋に止めてやる。

   触るとピクンピクン元気に跳ね回る。

   全体にグレーだが、金色の点が散りばめられなかなか
   美しい。
羽化間近の蛹
   外出から帰ると、アカタテハが1頭プラスチックの箱の中で
   羽化していた。

   5月22日、きょうも外出しなければいけないのだが、覗いて
   見ると2匹目の蛹が透き通るように透明になり、うっすらと赤
   い翅が見える。

   これは大変…。羽化間近だ。
蛹が割れ頭が出た
   午前9時、蛹が割れアカタテハの頭がのぞいた。
元気に羽化
   プラスチックの箱にぶら下がったままアカタテハが羽化した。
   触覚を元気よく伸ばし、あっという間に蛹を割る。

   感激の一瞬だ。
小さな体をふるわせる
   蛹から抜け出ると、するすると這い出してきた。

   翅の模様が美しい。
   まだ、翅はぐにゃぐにゃと柔らかい。

   どこにつかまろうかと考えている。
赤い翅が美しい
   すっと手が伸びてプラスチックの箱のへりを前足でつかんだ。
   滑りやすいのにしっかりとつかんでいる。
木の枝につかまったアカタテハ
   かわいそうなので木の枝を差し出してやるとそちらに移って
   きた。

   9時半。翅が少しずつ伸びてくる。
   ぽたぽたと体液をもらす。

   真っ赤で血のようだ。赤い体液は段々透明な体液になって
   いく。
羽化から1時間。
   午前10時。
   蛹から出て1時間。翅がしっかりと伸びた。

   蝶に指で触れてみるが微動だもしないで枝につかまっている。

   夕方、残りの1頭も羽化した。

   自宅の近くがアカタテハにとって幸せな環境かどうかわからない
   が、放してやった。

   食草が足りなかったり、苦労をかけたアカタテハ。
   栄養失調にならないかと心配したが、元気に立派に美しいアカ
   タテハが羽化した。

   ほっとした。

   卵からちょうど40日。自分のこどものようにいとおしかった。


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