ツマキチョウ


 ツマキチョウ♂
ツマキチョウ♂
(2017年4月20日 東京都文京区)
 産経新聞の「朝の詩」にこんな詩が載っていた。

 虫のなまえを
 父が教えてくれた
 昆虫図鑑にないなまえ

 花のなまえを
 母が教えてくれた
 植物図鑑にないなまえ

 いつまでも
 心にあたたかく
 残っている
 図鑑にないなまえ

 大阪・枚方市の田中伸子さん(68)の作品だ。
 なんて素敵な詩なんだろう。
 残念ながらぼくに蝶の名前を教えてくれる人はいなかった。
 ひとりで毎日図鑑を眺め、蝶の名前を覚えた。
 ツマキチョウもきっとそうだったのかな。 
 ツマキチョウ
ツマキチョウ♂
(2021年3月24日 千葉県木更津市)
 ツマキチョウ
ツマキチョウ♂
(2021年3月22日 千葉県市川市)
 ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2019年4月13日 東京都文京区)
産卵するツマキチョウ♀
産卵するツマキチョウ♀
(2020年4月4日 千葉県市川市)
 
 ツマキチョウ♂
飛翔するツマキチョウ
(2022年4月2日 千葉県市川市)
ツマキチョウ♂(左)と♀
ツマキチョウ♂(左)と♀
(2020年4月4日 千葉県市川市) 
ツマキチョウ♀(左)と♂
飛翔するツマキチョウ♀(左)と♂
(2020年4月4日 千葉県千葉市)
 
小池東京都知事をはじめ首都圏の知事が足並みを揃えて週末の外
出自粛を呼びかけた。サッカーの香川真司(スペイン)岡崎慎司(ス
ペイン)吉田麻也(イタリア)は日本の若者に向け「ステイ・ホーム」(外
出しないで家にいて)と呼びかけていた。

さすがに外出するのも気が咎める。それでも家にこもってばかりいて
は足腰が弱ってしまう。
小池さんも「お年寄りの散歩はいいんです」と言っていた。今日は地元
の谷津田を散歩して足腰を鍛えよう。
電車はがら空きだった。一車両に5、6人しか乗っていなかった。コロ
ナ自粛はきちんと守られていた。日本が何とか持ちこたえているのは
こうしたことがあるからだろう。

9時半頃谷津田に着くとツマキチョウがもう盛んに飛んでいた。オオア
ラセイトウが見頃になっているが、その一角は柵が囲ってあるのでツ
マキチョウが止まっても上から見下ろす感じになる。他も木道沿いか
ら撮影する制約がある。
いつものことだが、ツマキチョウは飛びまわってばかりでなかなか止ま
ってくれない。
今年は大分前から発生しているようでメスも見られた。オスとメスの絡
みなどを撮影してみた。
メスを追いかけていると、やっと止まってくれた。カメラを向けていると
腹端を曲げて産卵を始めた。追いかけ回した甲斐があった。スジグ
ロシロチョウも沢山見られた。

昼を過ぎると風が強くなって来たので撤収した。
帰りの電車もがら空きだった。
家に帰ると蝶友から「北海道でエゾヒメギフが発生した」というメールが
届いていた。コロナが収まって穏やかな春になって欲しい。 
 
ツマキチョウ♂
(2019年4月6日 東京都文京区)
 
ツマキチョウ♂
(2019年4月7日 東京都文京区)
ツマキチョウ
ツマキチョウ♀
(2017年4月20日 東京都文京区)
 
 ツマキチョウ
ツマキチョウ♀
(2014年4月20日 東京都文京区)
 ツマキチョウ♂
ツマキチョウの戯れ
(2017年4月20日 東京都文京区)
 
 ツマキチョウ♂
ツマキチョウ♂
(2016年4月20日 東京都文京区)

   小倉百人一首に「久方の光りのどけき春の日にしづ心なく花
   の散るらん」という紀友則の歌がある。

   満開の桜、まさに春爛漫である。ギフチョウに続いてツマキチ
   ョウも舞い始めた。

   奈良・斑鳩の春の田園風景はいかにも長閑やかで、この蝶が
   ぴったりの感じがする。万葉人たちも桜やツマキチョウに春を
   感じたに違いない。

   しかし、不思議なことに万葉集の中に蝶を詠んだ和歌は一種
   もない。

   先日、国立博物館で行われていた興福寺の「阿修羅展」の中
   に「草花双蝶八花鏡」が展示されていた。工芸では蝶の飾りが
   あるのだが、奈良時代の文学には蝶はなぜか登場しないのだ。

   源氏物語にも源氏が明石の上に贈った衣装に蝶がデザインさ
   れていたという記述はあるが、蝶に触れたところはない。

   奈良時代も平安時代も、蝶は文学の点景にはなっていないの
   だ。紫式部も清少納言も貴人の館の庭の風情は克明に描いて
   いるが、蝶にはまったく無関心だ。

   ふわふわと妖精のように舞う蝶、動物の死体などに群れる蝶、
   この時代の人々は蝶をなにか不気味な存在として捉えていた
   ようである。

   蝶が文学に登場するのはずっと後世になってからだ。 
 ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2016年4月20日 東京都文京区)
 ツマキチョウ
ツマキチョウ♂
(2014年4月9日 千葉県市川市)
ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2016年4月12日 東京都目黒区) 
ツマキチョウ♂
ツマキチョウ♂
(2015年4月22日 千葉県市川市)
 
 ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2015年4月22日 千葉県市川市)
ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2015年4月16日 千葉県市川市)
 
ツマキチョウ♀
ツマキチョウ♀
(2015年5月22日 東京都八王子市)
 
 ツマキチョウ♂
ツマキチョウ♂
(2014年4月9日 千葉県市川市)
 ツマキチョウ♂
ツマキチョウ♂
(2014年4月23日 東京都八王子市)
ツマキチョウ
ツマキチョウ(オス)
(2009年4月13日 千葉県市川市)
ツマキチョウ♀
ツマキチョウ(メス)
(2010年4月14日 千葉県市川市)
 産卵するツマキチョウ
産卵するツマキチョウ
(2015年4月26日 東京都文京区)
ツマキチョウ
ツマキチョウ
(2009年4月9日 千葉県市川市)
産卵するツマキチョウ♀
産卵するツマキチョウ♀
(2009年4月9日 千葉県市川市)
   「褄(つま)」といっても、もう分らない人が多くなった。

   着物などで長着の裾の左右両端の部分のことを言う。

   ツマキチョウという和名はこの蝶の翅の左右両端が黄色いとい
   う意味になる。褄が黄色い蝶というわけだ。

   ただし、先端が黄色いのはオスだけで、メスは白地に黒い斑紋
   があるだけで、際立った違いがある。

   高山にだけ棲むクモマツマキチョウという蝶がいるが、これは
   「雲間褄黄蝶」という意味。初夏のころ、雪渓の上をオレンジ
   色の翅をふるわせながら飛んでくるこの蝶は雲間から現れる幻
   の蝶のようなイメージがあって愛好家には人気が高い。

   蝶の和名はそれぞれがとても洒落ているのだ。
ツマキチョウ
ツマキチョウ
(2009年4月14日 千葉県市川市)

   船橋市のはずれに坪井というところがある。

   クヌギ、エノキ、カシなど自然の雑木林が残り、林を分ける
   ように水田と小さな疎水があった。
   散歩に行くと蛇とばったり会ったり、キジの夫婦が巣作りを
   していたり、自然がたっぷりとあった。

   秋が深まると、カシの木の周りにウラギンシジミが羽を輝か
   しながら舞っていて、晩秋の太陽を浴びながら、それを見て
   いると、蝶を愛する幸せを感じさせてくれるのだった。

   林を縫う散歩道には、春になるとツマキチョウが姿を見せた。
   この辺ではもう見ることが出来なくなってしまったが、坪井
   では必ず愛らしい飛翔が見られた。

   ツマキチョウは春を実感させてくれる蝶だ。

   2年前から、この樹林が大規模な開発に見舞われることにな
   った。大人が三人ぐらい手をつないで抱えても届かない貴重
   なカシやクヌギがあっという間に切り倒され、半年もすると
   あの樹林は跡形もなく、茶色い荒地に変わってしまった。

   住宅都市整備公団の団地建設だという。

   一木一草残さない徹底した整地。そこにやがてしゃれた団地
   と新たに植えられた街路樹が団地のシンボルになるのだろう。

   ツマキチョウはもうどこにもいなかった。

   あのキジの夫婦はどこへ行ったのだろうか。
ツマキチョウ
ツマキチョウ(メス)
(2009年4月22日 東京都文京区)
ツマキチョウ(オス)
ツマキチョウ(オス)
(2009年4月22日 東京都文京区)
ツマキチョウ(メス)
ツマキチョウ(メス)
(2008年5月18日 東京都桧原村)

   この蝶も春を感じさせる蝶である。

   東京近郊では3月下旬頃から姿を見せ、5月頃にはもう
   いなくなってしまう。

   可憐な蝶であるが、なかなか花に止まってくれず、シャッ
   ターチャンスがなかなかない。

   最近ツマキチョウが都心で増えているという。

   皇居のお堀のまわり、大手町や四谷近辺でもことし(20
   08年)は結構その姿を見ることができたという。

   地球温暖化とはあまり関係がなさそうだが、春の都心に
   ツマキチョウが舞っているのはうれしい現象だ。
ツマキチョウ
ツマキチョウ(メス)
(2008年5月18日 東京都桧原村)
交尾するツマキチョウ
交尾するツマキチョウ
(2009年4月9日 千葉県市川市)
   桜が一気に満開になり、ツマキチョウがいっせいに舞い始めた。

   ムラサキハナダイコンの畑にツマキチョウが集まっていた。

   この蝶のオスは意外と行動的で、スジグロシロチョウのメスが
   飛んでくると、勢い良く追いかけていく。そこにツマキチョウの
   メスが飛んでくると、あっという間にカップルが出来上がった。

   随分、積極的なオスだなあ。

   近くの桜の木の枝でもカップルが愛を確かめ合っていた。
交尾するツマキチョウ
交尾するツマキチョウ
(2009年4月9日 千葉県市川市)
交尾するツマキチョウ
交尾するツマキチョウ
(2009年4月9日 千葉県市川市)
 ツマキチョウの交尾
ツマキチョウの交尾
(2019年4月13日 東京都文京区)
ツマキチョウ
雨を避け休むツマキチョウ
(2009年4月14日 千葉県市川市)
ツマキチョウ
ツマキチョウ
(2016年4月20日 東京都文京区)
 
 ツマキチョウ
ツマキチョウ
(2016年4月20日 東京都文京区)
 ツマキチョウ
ツマキチョウ
(2016年4月20日 東京都文京区)


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