ムラサキツバメ

 ムラサキツバメ
ムラサキツバメ♀
(2015年12月1日 千葉県習志野市)
 田淵行男と言う名前は蝶界のレジェンドのような存在だろう。
 1957年に出版された「ヒメギフチョウ」をはじめ、「高山蝶」「日本アル
 プスの蝶」などの名著がある。

 ぼくは「ヒメギフチョウ」を持っているが、若い頃それを何度も読んで安
 曇野や白馬のヒメギフチョウに思いを馳せたものだ。どれも今では古書
 で10万円以上の値段がついている。

 その田淵の人生をドラマに描いた「蝶の山脈」がNHKBSで放映され
 た。とても感動的な作品になっていた。戦後の田淵の生活は食べるもの
 にも不自由な清貧の中での自然観察だったという。

 中でも常念岳に何度も登り、タカネヒカゲの生態を解明するシーンは胸
 が熱くなるものがあった。 

 ガンと闘病中のぼくは何とかもう一度常念岳に登り、タカネヒカゲの写真
 を撮りたいと思っていた。しかし、体力的にはもう無理だと言われていた。

 7月のある日、息子が「常念岳に一緒に登ろう」と言ってくれた。その言
 葉に後押しされ、北アルプス登山を決断した。荷物は全部息子が担いで
 くれ、空身一つの登山だった。喘ぎ喘ぎ何とか登り切ることが出来た。

 ハイマツの生える3000メートル近い砂礫地でタカネヒカゲやミヤマモン
 キチョウに会えた時は感激で涙がこぼれそうになった。間近に槍ヶ岳が
 そびえ立っていた。

 その時のことを思いだしながらテレビの「蝶の山脈」を見つめていた。
 ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2023年1月13日 千葉県千葉市)
 ムラサキツバメ♂
ムラサキツバメ♂
(2023年1月13日 千葉県千葉市)
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2018年11月29日 千葉県習志野市)
 
 ムラサキツバメ♂
ムラサキツバメ♂
(2019年12月24日 千葉県習志野市)
 ムラサキツバメ♂
ムラサキツバメ♂
(2019年11月21日 千葉県習志野市)
ムラサキツバメ♂
ムラサキツバメ♂
(2018年11月29日 千葉県習志野市) 
ムラサキツバメ
ムラサキツバメ♀
(2015年12月1日 千葉県習志野市) 
ムラサキツバメ♂
ムラサキツバメ♂
(2015年12月1日 千葉県習志野市)
 
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2015年12月1日 千葉県習志野市) 
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2016年12月3日 千葉県習志野市)
 
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2016年12月3日 千葉県習志野市) 
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♀
(2016年12月3日 千葉県習志野市)
 
 ムラサキツバメ
ムラサキツバメ♀
(2012年9月27日 千葉県船橋市)
ムラサキツバメ
ムラサキツバメ
(2012年9月27日 千葉県船橋市)
 

   地球温暖化のせいか、東京でもこの2、3年、この蝶が普通
   に見られるようになった。

   夕方、愛犬を連れて散歩をしていたら、急にアスファルトに
   鼻をつけ、くんくんとやりだした。

   何かと思ってよく見てみると、アスファルトの道にこの蝶が
   じっと止まっていて、飛び立とうとしない。そっと手に乗せ
   て近くの街路樹に止まらせてやった。

   夏の盛りの夕方、我が家のアジサイの葉に止まって熱い陽
   射しを避けていたこともある。

   あわててデジカメを取りに行き、戻ってくるとまだ、じっと
   している。残念ながら、美しいブルーの羽は広げてくれなか
   った。

   秋が深まる頃、百日草の葉に止まって日光浴する姿もあった。
   時折、翅を開くとブルーの色合いがとても美しい。

   東京近辺ではかってムラサキシジミの方が見られたものだが、
   最近はマテバシイの植えられたちょっとした公園などでもこ
   の蝶が見つかる。

   ムラサキシジミにはない尾状突起があるのがムラサキツバメ
   の特徴だ。
ムラサキツバメ
ムラサキツバメ♀
(2008年10月12日 千葉県千葉市)
 
ムラサキツバメ
ムラサキツバメ♀
(2008年10月12日 千葉県千葉市)
ムラサキツバメ
ムラサキツバメ
(2008年10月12日 千葉県千葉市)
ムラサキツバメ♀
ムラサキツバメ♂
(2010年12月4日 千葉県習志野市)
 
   立冬が過ぎた。

   都心のイチョウもそろそろ黄葉が始まった。ことしも蝶の
   季節が終わりかけている。

   二日続きの雨が上がったので市川市の公園に出かけて
   みた。日差しに誘われるようにウラギンシジミが活発に飛
   びまわっている。

   銀色の翅が青空にきらきら光ってとてもまぶしい。

   木立を見ていくと、木の葉の陰に小さな蝶がじっと止まっ
   ていた。時々翅の向きを変えるが、ほとんど動かない。

   ムラサキツバメだった。

   1時間ほど観察していたが、飛び立つ気配がないので、か
   わいそうだったが、木の枝を揺すってみた。強風なみに揺
   すっても必死にしがみついて動こうとしない。

   枯れ木を拾ってすぐ傍を軽く叩くと、あわてて飛び立って5メ
   ートルほどはなれた木の葉に止まった。

   ここは日が当たっていて気持ちがよいのか、翅を広げて日
   光浴を始めた。3分ほど翅を広げていたが、すぐ飛び立つと
   また、もとの木の葉の陰に舞い戻ってじっとしている。

   さらに二回気の毒な実験をしてみたが、飛び立ってはすぐ、
   この同じ場所に戻ってくる。よほどここが気に入っているよ
   うだ。

   2時間ほど散策をして、帰りがけにもう一度見てみると、もう
   1頭ムラサキツバメが増え、2頭がじっとしていた。

   この木の葉の陰が寒い冬を過ごす場所になるのだろうか。

   折を見て観察してみたいと思う。

              (2007年11月14日)

ムラサキツバメ
越冬態勢のムラサキツバメ
(2007年11月12日 千葉県市川市)
 身を寄せ合うムラサキツバメ
黄色い葉の中で身を寄せ合うムラサキツバメ
(2016年12月3日 千葉県習志野市)


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