コツバメ


 コツバメ
コツバメ
(2013年4月8日 千葉県佐倉市)
 戦争報道の歴史的写真として有名なのはロバート・キャパの「崩れ落
 ちる兵士」だろう。その写真についてNHKで興味深いドキュメンタリー
 を見た。

 スペインのコルドバ戦線で撮影されたとされるこの写真で、無名だった
 若者は一躍世界に名を知られる戦場カメラマンになった。

 実はロバート・キャパというのも本名ではない。そしてこの写真は戦場
 で撮られたものでもなく、訓練中転倒した兵士を一緒にカメラを構えて
 いたキャパの恋人、ゲルダ・タローが偶然撮影したものだった。 

 ドラマを見るような迫真のドキュメンタリーを見て、昔読んだことがある
 須賀敦子の「ミラノ霧の風景」の1節を思い出した。

 アントニオ・タブッキの小説の紹介なのだが、ある本に一枚の写真が載
 っていて、一人の黒人の少年が勢いよく両手を上げて、まるでマラソン
 のゴールのように写っている。

 ところが次のページでは、その写真が全体の一部分でしかないことが
 明かされる。全体というのは、南アフリカの黒人弾圧の場面で勝利の
 瞬間のように両手を上げた黒人は、銃弾に撃たれて倒れ込む瞬間な
 のだという。

 写真の持っている怖さのようなものが共通していて興味深かった。
 昆虫写真も最近は手がこんで来て、どうかなと思うものもあるようだ。
 そういう深みには入り込まないようにしたい。
 コツバメ
コツバメ
(2022年3月25日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
 (2022年3月17日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2021年3月16日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2021年3月16日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2019年3月25日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2019年3月25日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2019年3月25日 埼玉県武蔵嵐山町)
コツバメ
コツバメ
(2013年4月8日 千葉県佐倉市)
 
 コツバメ
コツバメ
(2020年3月11日 埼玉県武蔵嵐山町)
 コツバメ
コツバメ
(2020年3月11日 埼玉県武蔵嵐山町)
コツバメ
コツバメ
(2018年3月23日 埼玉県武蔵嵐山町) 
コツバメ
コツバメ
(2015年4月12日 神奈川県相模原市)
 
コツバメ
コツバメ
(2015年4月12日 神奈川県相模原市)
 
 コツバメ
コツバメ
(2011年4月6日 神奈川県石砂山)

   春を連想させる蝶はいくつかあるのだが、コツバメもその
   ひとつである。

   それにしても小粋な和名だなあと感心する。

   日当たりの良い沢筋の山道などでよく出会う。名前そのま
   まに敏捷な飛び方をするので、アレッと思っていると見失っ
   てしまうが、よく探すとすぐ近くの小枝などにちょこんと止ま
   っている。

   かわいらしい蝶である。

   春先だけに姿を現し、すぐにいなくなってしまう生き物たち
   を「スプリング・エフェメラル」と呼んでいる。

   英和辞典によると、Ephemeralとは「一日限りの、つかの
   まの、短命の」とある。

   なるほど。

   コツバメとは一日限りの愛人かあ、などとバカなことを妄
   想してしまった。

 コツバメ
コツバメ
(2011年4月6日 神奈川県石砂山)
コツバメ
         (2007年4月18日  東京都高尾山)
   春の高尾山で好きだったのは込縄や梅の木平あたりの小さな
   沢だった。

   すごく穏やかで、かってはギフチョウの姿を見ることも出来た。
   ギフチョウが姿を消してからも春先、ここを訪れるとのんびり
   と気持ちが安らいだものだ。

   久しぶりに訪れてみたいと思い立った。

   高尾山口から国道を大垂水峠の方に向かって歩いて行く。

   しかし、なんということだろう。

   しばらく行くと、圏央道のコンクリートの橋脚がにょきにょきと
   立ち、見る影もない光景が目に入ってきた。込縄も梅の木平
   もコンクリートに埋没し、かっての面影はない。

   「失敗した。ひどいなあ」と思ったが、戻るのも腹が立つ。5キロ
   ほどさらに歩いて、やっと林道に入ることが出来た。

   小さな沢沿いの道でコツバメが迎えてくれたのにはホッとした。
コツバメ
コツバメ
(2007年5月3日  山梨県小淵沢)
 コツバメ
コツバメ
(2014年3月31日 神奈川県石砂山)
 コツバメ
コツバメ
(2016年5月12日 長野県北アルプス)

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