タカネキマダラセセリ


タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市) 
 タカネキマダラセセリの棲む山に登って来た。
 半ば止めようかなと思っていた。僕は胃ガンの手術後体調が思わしく
 なく、体重は今50sそこそこである。それよりも妻は2年前大腸ガン
 を手術し、ことし5月にはまた胆嚢の切除手術をしたばかりである。

 随分迷ったが、今年を逃したらもう挑戦出来ないかもしれないと考え
 決断した。妻も「行きたい」という。

 本当に大丈夫なのかな?

 危惧した通り、登ってすぐに妻が転倒して岩に顎をぶつけ、唇の下か
 ら出血した。足もすりむいて血がにじんでいる。
 やっぱり無理かなと思ったが、妻は「登る」と決然と言った。

 登山者にどんどん追い越され、普通のペースの倍の時間をかけ、ゆっ
 くり登る。ところどころ大展望に励まされ、さらに樹林帯を登って行くと
 笹の葉の上をチラチラと飛ぶタカネキマダラセセリと出会った。

 そこから上では何頭かが元気に飛んでいる。

 妻はうれしそうに「これがそうなの」と小さな蝶を愛おしそうに見つめて
 いた。 
タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市)
 
タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市)
 
タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市) 
 僕がタカネキマダラセセリの写真を撮っている間、妻は岩の上に座っ
 てケガの手当をしながら休息していた。

 次々登って来る登山者の中に外国人もかなりいた。
 妻は片言の英語で話しかけていたが、フランス人の夫婦、デンマーク・
 コペンハーゲンから来たカップル、イスラエルの夫婦などさまざまだっ
 た。

 デンマークからの女性は裸足にサンダルの軽装でびっくりさせられた。
 イスラエルの人は「お国が大変ですね」と話すと「テレビで放送されてい
 るのは一部のこと。国は平穏です」と言っていた。

 日本の山もYOUが多いのにびっくりする。

 タカネキマダラセセリと対面出来、そこからぼくらはまっすぐ下山した。
 下で食べたキイチゴのジェラートは殊の外おいしかった。

 一息入れ、美しい川畔をぶらぶら散策した。

 美しい花が咲き、そこに小さな蝶がちらちら飛んでいる。
 タカネキマダラセセリだった。

 こんなに苦労して山に登って来たのに、登山口近くにいるなんて。
 ちょっとがっかりした。 
タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市)
 
タカネキマダラセセリ
タカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市)
 
梓川畔のタカネキマダラセセリ
下界のタカネキマダラセセリ
(2014年7月23日 長野県松本市)
 
 


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