ヒメチャマダラセセリ
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
襟裳岬にほど近いアポイ岳に登ってヒメチャマダラセセリを撮ること は年来の夢だった。3年前には計画を立て帯広まで行ったが、その時 は天候が悪く断念した。 ともかく遠い。札幌からだと一日がかりの行程だし帯広からでも 車で 2時間半はかかってしまう。ガン夫婦には何とも厳しい旅なのである。 去年の体調は絶不調だったぼくらは、幸い今年は体調が安定している。 行くなら今年しかない、そう思って4月末には航空券も手配した。 ところが今年の北海道は5月というのに異例の暑さが続き、ヒメチャマ ダラセセリの発生はGW明けにはピークを迎えたという。いつもの年よ り2週間も季節の歩みが早いのである。 6月1日にアポイ岳に登るというと皆が「もう遅いなあ。止めた方がい い」という。それでも決行!! 前日、登山口のアポイ山荘に宿泊し、朝7時から登り始めた。天気は 快晴だった。僕と妻は順調に登り始めた。アポイ岳は810メートル、高 尾山程度の山と考えていたが、4合目を過ぎたあたりから急に厳しくな って、妻の足取りがおぼつかなくなってきた。 ついに妻は7合目でダウン。その後ぼくはひとりで登山を続け、間もな くお花畑の近くで登山道に止まっていたヒメチャマダラセセリを見つけ た。それから1時間ほど、4頭のヒメチャと遭遇したが、やはり発生末 期のボロがほとんどだった。 それでも遠くここまで来たかいがあった。見上げると周囲の山の新緑 と青空がまぶしかった。 |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2023年5月16日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2023年5月16日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
ヒメチャマダラセセリは国の天然記念物に指定されている。 発見されたのは1973年のことだった。 オサムシ掘りに熱中していた北大昆虫研究会の学生、鈴木茂君が 5月28日、トラップを掛けながら山道を登って行った。5合目あたり から上は岩石がごろごろしていて険しい山道になるがチングルマや アポイアズマギクなどの花が咲き乱れている。 馬の背に入る手前で、1頭のセセリチョウを目撃した。ぴょんぴょん 飛び跳ねるように飛んでいる。あわててバッグから網を取り出した。 すばしっこい蝶で何度も取り逃がし、地面に止まったところをやっと 採集した。 ようやく捕まえた蝶を見てみると、子供の頃北見で良く見たチャマダ ラセセリとどこか違っていた。 それがこの蝶の発見だった。(北海道の高山蝶から) 小さな島国の日本では新種の蝶などもういないだろうと言われていた が、1957年には愛媛県の皿が峰でベニモンカラスシジミが、そして ヒメチャマダラセセリ発見と、蝶界は大ニュースに沸いた。 40年前の興奮を僕も覚えている。 いまもどこかに人知れずまだ誰も出会ったことがない蝶がいるかも 知れない。 |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |
![]() キンロバイに産卵するヒメチャマダラセセリ♀ (2015年6月1日 北海道様似町) |
![]() ヒメチャマダラセセリ (2015年6月1日 北海道様似町) |