ウスバキチョウ


ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
 ウスバキチョウにやっと会うことが出来た。
 一昨年は春からいろいろ計画を立てたが、思わぬ胃ガン宣告で幻の
 計画になった。昨年は出発直前、今度は妻が緊急入院、大腸ガンの
 手術を受け、断念せざるを得なくなった。

 今は”ガン夫婦”である。体調もさして良くはなく、お互いに支え合って
 1人前というところだ。無謀にもことし、ふたりでチャレンジすることに
 した。

 6月23日〜27日まで北海道に行くことにして航空券も手配した。しか
 し、何ということだろう。今年の北海道は雪が多く、銀泉台に入る林道
 が28日まで入山出来ないという。

 ウスバキチョウの時期はもう遅いのだが、今年を逃したら年齢、体力か
 らみてもうチャンスはないだろう。そう考えて7月7日に層雲峡に入った。

 銀泉台からコマクサ平に至る登山道は大きな雪渓が4つあった。やは
 り雪は例年以上に多いのだという。

 その雪渓をトラバースして行くのだ。行きも帰りも片側は断崖のように
 切り立っていて、脚がすくんだ。「本当に大丈夫だろうか」と不安が頭を
 横切った。正直、怖かった。

 それでもコマクサ平に上がると、そこは別天地だった。コマクサが咲き
 乱れ、高山植物があちこちに咲いていた。

 しばらくするとウスバキチョウがすーっと飛んできた。
 見るとかなり飛び古し、あの輝くような羽化直後の黄色い鱗粉は剥げ
 落ちていた。それでもやっとウスバキチョウに会えた。ボロのウスバキ
 チョウでもぼくには宝物のように思えた。

 下山の雪渓はもっと怖かったが、ウスバキチョウに会えた喜びで一歩
 一歩雪を慎重に踏みしめる足取りが軽く思えた。

 ペンションに戻ると、「ガン夫婦がよく頑張ったねえ。すごいよ」とオーナ
 ーが褒めてくれた。 
ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
 ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
ウスバキチョウ
ウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
コマクサに産卵するウスバキチョウ
コマクサに産卵するウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平)
 
 北海道の大雪山など限られた高地に棲むウスバキチョウは天然記念
 物に指定されている。

 高山に咲くコマクサが食草で、1年目は卵で越冬、翌年孵化した幼虫
 はコマクサの花、つぼみなどを食べて育ち2年目の冬を蛹で越す。
 成虫になるまで足かけ3年という”奇跡の蝶”でもある。

 コマクサ平に登ったのは7月8日だった。ウスバキチョウの発生時期と
 しては遅く、見かけたのは鱗粉が剥げ落ちたボロばかりだった。

 しかし、幸いなことにメスの産卵を目撃することも出来た。

 メスはコマクサの生えた岩礫をゆっくり飛び、コマクサを確認すると、近
 くの岩礫やコマクサに直接卵を産み付けていた。

 少し大きめの岩礫に産む姿も目撃出来た。 
産卵するウスバキチョウ
岩礫に産卵するウスバキチョウ
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平) 
岩礫に産み付けられたウスバキチョウの卵
岩礫に産み付けられたウスバキチョウの卵
(2013年7月8日 北海道大雪山コマクサ平) 


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