ナガサキアゲハ


ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♀
(2009年11月15日 沖縄県大宜味村)
  沖縄に行ってきた。

  母の介護の必要もあって、6月から車を運転するようになった。

  バスはしんどいのでレンタカーを借りて沖縄を回ってみようと
  考えていたが、息子が「70歳近い年寄りがレンタカーなんか
  危ない」と言い出し、結局「俺が行ってやるよ」とドライバー役
  をかって出てくれることになった。

  息子と二人の一泊二日の観光を兼ねた沖縄旅行になった。

  天気予報は雨模様だったが、なんとかもってくれたが、風が少
  しある。蝶はあまり期待出来なかったが、なんとなくうきうきする。

  名護から更に北に進む。

  山あいの集落にハイビスカスがたくさん花を付けていた。

  ツマベニチョウがたくさん舞っていた。そのうち、白いナガサキ
  アゲハがやって来た。周辺はみかん畑になっていて、かっこう
  の発生地のようだった。

  「なんだ、あれは…。すごいね。すごいよ」

  沖縄独特の白いナガサキアゲハに、蝶とは縁のない息子はす
  っかり興奮していた。
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2021年9月24日 千葉県南房総市)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2021年9月24日 千葉県南房総市) 
 ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2021年9月24日 千葉県南房総市)
 ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2021年9月24日 千葉県南房総市)
 ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2021年4月26日 千葉県千葉市)
 ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2021年4月26日 千葉県千葉市)
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♀
(2009年11月15日 沖縄県大宜味村)
ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村) 
 息子たちと沖縄に行った。僕が胃ガン手術から3年、妻が大腸ガン
 手術から2年、転移・再発もなかったので、そのお祝いを兼ねて出か
 けようと、誘ってくれたのだった。

 2週続けて大型の台風が襲来した沖縄の自然はかなり荒れていた。
 沿道の木々は塩害で茶色くなって立ち枯れている。
 「これじゃあ、蝶もいないなあ」とつい、ボヤキも出る。確かに蝶は少
 なくなっていた。今の時期、ツマベニチョウがかなり飛んでいるのだが
 初日に向かった南城市ではその姿を見るのもまばらだった。

 息子は5年前に見た白いナガサキアゲハにすっかり魅せられていて、
 「沖縄に行ったらあの幻の蝶に会いたいね」と言っていた。その希望を
 叶えるため大宜味村の山間の村に向かった。

 ハイビスカスの赤い花の近くで待っていると、やがて白い大きな蝶がや
 って来た。「ナガサキだ!」と息子が叫ぶ。

 台風にもかかわらず沖縄の白いナガサキアゲハは健在で、ここでは
 次から次へとその美しい姿を見せてくれるのだった。 
 ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2017年10月11日 沖縄県石垣市)
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村
) 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県国頭村)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県国頭村) 
ナガサキアゲハ♂(左)と♀
ナガサキアゲハ♂(左)と♀
(2014年10月18日 沖縄県国頭村)
 
ナガサキアゲハ♀と♂(右)
ナガサキアゲハ♀と♂(右)
(2014年10月18日 沖縄県国頭村)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月19日 沖縄県本部町)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村)
 
ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村)
 
ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2014年10月18日 沖縄県大宜味村)
 
 ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♀
(2015年9月30日 徳島県海陽町)
  ナガサキアゲハというとなぜかオペラ”蝶々夫人”を思い浮かべ
  てしまう。

  プッチーニのこの名作オペラが初演されたのは1904年、ミラノ
  スカラ座だから、もう100年ファンを魅了し続けていることになる。

  アリア「ある晴れた日に」や終幕の「さよなら坊や」はいつ聞いて
  もじんと来る。

  こどもの頃、”ナガサキ”という名前や、尾状突起のない黒いアゲ
  ハに憧れた。優美な白い翅の模様にも羨望のような夢があった。

  東京からみるとこの蝶は手の届かない遠い世界の黒いアゲハチ
  ョウだった。

  地球温暖化のせいか、関東でもここ数年ナガサキアゲハが普通
  に見られるようになってきた。

  箱根を越え神奈川に定着し、東京でもたまに見かける。

  それでも自宅のある船橋では見かけたことがなかったが、2006
  年夏、悠々と飛ぶこの蝶の姿を見かけた。

  2009年の今年、庭のランタナに来ていたのを見かけたし、自宅
  近辺でもたまに目撃するようになっている。
ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2017年9月14日 千葉県船橋市) 
 ナガサキアゲハ(異常型)
ナガサキアゲハ♂(異常型)
赤紋の入ったオス
(2023年8月29日 千葉県船橋市)
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ
(2017年5月19日 北関東山地)
 
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♂
(2009年9月8日 千葉県船橋市)
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♂
(2009年9月15日 千葉県船橋市)
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ♂
(2007年9月22日 千葉県市川市)
ナガサキアゲハ
ナガサキアゲハ
(2013年10月8日 千葉県船橋市)
 
 秋も深まって来た。
 蝶の季節もそろそろおしまいだ。

 公園のベンチに座っていると、ペンタスの花にナガサキアゲハがやっ
 て来た。翅を小刻みに振るわせながら、一生懸命花の蜜を吸っている。

 翅はもうかなり痛み、あちらこちらが欠けている。まさに満身創痍とい
 った感じだ。それでも小一時間花から花へ、懸命に蜜を吸っていた。

 以前、僕は蝶を採集していた時期がある。
 ネットを振り回し、蝶を捕まえ、標本にすることになんの心の痛みはな
 かった。 

 今は違う。

 ネットで捕まった蝶は「どうしてなの? ここから出して、お願い」と叫ん
 でいる。親指と人差し指で、小さな胸をギュッと圧迫されて殺される瞬
 間は「やめて、助けて! 苦しいよ」と悲鳴を上げている。

 そんな蝶の悲痛な声が以前は聞こえなかった。 

 ガンを宣告され、命との戦いをするようになって、初めて蝶の声が聞こ
 えるようになった。

 いつまでもいつまでも、ナガサキアゲハは花の蜜を吸いつづけていた。
 ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
{2018年9月23日 千葉県印西市)
 ナガサキアゲハ♂
ナガサキアゲハ♂
(2018年9月23日 千葉県印西市)
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2017年9月24日 千葉県南房総市)
 
ナガサキアゲハ♀
ナガサキアゲハ♀
(2017年9月24日 千葉県南房総市)
 
 ナガサキアゲハの♂と♀
ナガサキアゲハ♂(左)と♀
(2021年9月24日 千葉県南房総市)
ナガサキアゲハのオス(下)とメス
求愛するナガサキアゲハのオス(下)
(2017年9月24日 千葉県君津市) 


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