ギフチョウ

 ギフとヒメギフの交尾
ギフチョウギフチョウとヒメギフ
チョウの異種間交尾
(2022年5月10日 長野県白馬村)
ギフチョウ(イエローバンド)
ギフチョウ(イエローバンド)
(2022年5月10日 長野県白馬村) 
 ハイブリッドとヒメギフの交尾
ハイブリッドとヒメギフチョウの交尾
(2022年5月10日 長野県白馬村)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2019年3月31日 神奈川県相模原市)
 新元号が「令和」になった。なかなかいい元号だと思う。
 3月31日から4月1日にかけては河口湖に行っていた。息子夫婦が「富
 士山を見に行かないか」と誘ってくれ、宿を取ってくれたのだ。途中と帰り
 ギフチョウの里に立ち寄ってもらった。元号の発表の瞬間はマメザクラの
 前でギフチョウを待っていて、しばらくしてから妻から「令和ですよ」と聞か
 された。
 親戚に令子さんがいる。昔からこの令には「よいこと。麗しいこと」という
 意味があると聞いていた。命令とか令状とかと結びつけて批判する人が
 いるがおかしいと思う。令息、令夫人という言葉もあるだろう。
 令子さんは幼いころから美人で頭が良かった。今はもう60歳を過ぎてい
 る。万葉集からの選定もよかった。他の元号候補というのも報道されて
 いるが、その中でも一番だと思った。令和の時代が良い時代になってく
 れるといいなと願った。 
 ギフチョウ
ギフチョウ 
(2019年3月31日 神奈川県相模原市)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2022年4月17日 新潟県長岡市)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2021年4月1日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2021年3月26日 神奈川県相模原市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2021年3月26日 神奈川県相模原市) 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2021年3月26日 神奈川県相模原市)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2021年3月26日 神奈川県相模原市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年4月2日 神奈川県相模原市) 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年4月2日 神奈川県相模原市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年4月2日 神奈川県相模原市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年4月2日 神奈川県相模原市)
 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2,022年3月31日 神奈川県相模原市)

ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年3月19日 神奈川県相模原市) 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2020年3月18日 神奈川県相模原市)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2016年3月30日 神奈川県相模原市)
 蝶の観察や採集をやっていると、粘り、執念ということがいかに大事か
 ということをいつも思い知らされる。
 あの時あと30分粘っていたら目的の蝶が現れたのに、あの林道をあと
 50メートル行けばお花畑があって蝶が群れ飛んでいたのに…。
 そんな話を良く聞く。

 2016年最初のギフチョウ観察もまさにそうだった。気温はまずまずだ
 ったが、曇り空でスミレの前で頑張ってもまったくギフチョウは現れない。
 きょうはもうダメだな、と帰り支度をした。

 帰りのバスの時間は1時38分。1時20分には降りなければバスに間に
 合わなくなる。もう1時15分だ。

 あと5分だけ見てみようと思った。歩きかけると目の前を横切るものがあ
 った。「あっ、ギフだ」。そう思って追いかけると、なんとギフチョウは民家
 の庭先に咲いているカタクリに止まって吸蜜を始めた。
 しばらくするとまたひらひらと舞い、今度は黄色いスイセンに止まった。

 夢中でシャッターを切った。
 最後の5分の粘りが幸運をもたらしてくれたのだった。 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2016年3月30日 神奈川県相模原市)
 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2018年5月1日 長野県白馬村)
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2019年3月22日 神奈川県相模原市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2018年3月30日 神奈川県相模原市) 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2018年3月30日 神奈川県相模原市)
 
 今年は季節の歩みがとても速い。
 3月の初めに妻とオランダ・ベルギーを旅した。ヨーロッパまでは遠く、こ
 れが最後になるかなと思った。寒い異国から帰ってみると桜の開花宣言
 がされていた。ギフチョウは静岡で13日、神奈川では14日に初見され
 たという。
 その後18日にはまた寒の戻りがあり、雪まで降った。ギフチョウの蛹が
 打撃を受けるのではないかと心配した。それからは異例の夏日のような
 天気が続いた。25日に思い切って石砂山に登ってみた。麓の花はまだ
 まだだったが、頂上には5、6頭のギフチョウが元気に集まっていた。
 30日に麓の里を再訪した。ウメやマメザクラが見ごろになっており、ギフ
 チョウが盛んに吸蜜に訪れた。
 少し早いかと思ったが、4月3日に長岡まで遠征した。ギフチョウはちょっ
 と早かったが、カタクリはきれいに咲き誇っていた。カタクリや咲き始めた
 サクラにやって来るギフチョウを見ていると、ことしも元気だったかという
 感慨が湧いてくるのだった。 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2018年4月3日 新潟県長岡市)
 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2016年4月9日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月14日 神奈川県相模原市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月14日 神奈川県相模原市) 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月14日 神奈川県相模原市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月14日 神奈川県相模原市) 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月23日 新潟県長岡市)
 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2017年4月23日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
(2013年4月1日 神奈川県相模原市) 
 満開の桜よ癌を消してくれ  鉾立博文

 大震災後のこの1年半は我が家にとってつらい日々でもあった。
 思いがけぬ僕の胃ガン手術、肺炎、やっとそれを乗り越えたかと思っ
 たら、今度は無情にも妻の大腸ガン宣告、追い打ちをかけるように昨
 年暮、僕の大腸ポリープ切除、年明けからまた、妻の十二指腸潰瘍入
 院という具合だ。6年間ふたりで介護を続けた母は今は施設にお世話
 をお願いしている。16年間家族の一員だった愛犬が急死したのもつら
 いことのひとつだった。

 何しろ、今はふたりで支えあって生きて行くのが精一杯なのだ。

 リハビリを兼ねて毎日ウォーキングをしている。先日いつものコースを
 変え、小さな神社に寄ってみた。坂道の参道が50メートルくらい続き
 そこに桜が10本ほど植えられている。

 桜のトンネルから見上げてみると、青空に白い桜の花がまぶしかった。
 自分はともあれ、妻のガン再発・転移だけはなんとかないように。思わ
 ずそう祈った。

 少し元気を出さないといけない。

 そう思ってギフチョウを見に行った。
 いつものポイントは今年は桜、馬酔木、つつじが揃って咲いていて、そ
 こにギフチョウがやって来るのだった。

 厳しい自然を乗り越えてがんばって飛翔する小さな蝶の姿に勇気みた
 いなものを貰った気がした。 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2015年4月12日 神奈川県相模原市)
 
 我家は僕と妻とふたりでガン闘病中である。

 昨年はかなりつらい1年だった。ふたり合わせて救急車3回、入院4回
 手術2回。秋には息子に誘われて沖縄に出かけたが、最後の日、妻の
 容態が急変し、救急病院に駆け込む状態だった。何とか帰京出来たが
 妻はそのまま入院だった。

 そんな日々だが、この半年は平穏な毎日で、思い切ってローマ旅行も
 楽しんだ。午前中観光し、昼はいったんホテルに戻って3時間休息、
 夕方からまた観光と「ローマの休日」をのんびり味わうことが出来たの
 は半ば奇跡のようなことだった。

 ことしの春は雨が多かった。3月の半ばにギフチョウは発生したという
 がなかなか出かける機会がなかった。ことしは神奈川のギフチョウはダ
 メだなあと思っていたが、明日の日曜は快晴だという。

 思い切って息子に車を頼んでみたらOKという返事が返ってきた。

 9時過ぎに現地に着くと、次々カメラマンがやってくる。
 もう時期的に遅いかなあと思っていたが、いつもの梅、桜、馬酔木の花
 は終わっていたが、ミツバツツジがまだ残っていた。

 ずっと天気が悪く、ギフチョウたちもお腹がすいていたのか、スミレやツ
 ツジにやって来て吸蜜する。

 息子たちのお蔭でことしもギフチョウの饗宴を楽しむことが出来て幸せ
 だった。(2015年) 
ギフチョウ
ギフチョウ
(2015年4月12日 神奈川県相模原市)
 
 ギフチョウ
ギフチョウ
(2012年4月25日新潟県長岡市)
 ギフチョウに会いに新潟に出かけた。
 2階建ての新幹線の下の座席にいたので、外の景色がまるで見えな
 かったが、浦佐駅で上越線に乗り換えると、雪で真っ白な景色にびっ
 くりした。

 浦佐駅でばったり顔見知りのOさんと出会った。Oさんもギフを求め
 ての旅だ。
 「この辺でと思ったけど、これではまったくだめですねえ」

 ほんとに田も山も雪がまだしっかり残っているのだ。気温もかなり低
 い。

 上越線を少し走ると、不思議なことに雪が少しずつ消え、桜の花も満
 開になっている。

 車で来たKさんと待ち合わせ、いつも来る山に向かった。
 小さな山は雪がしっかり残り、いつも大群落を作っているカタクリが
 日当たりの良いところだけしか咲いていないが、それでもカタクリの
 お花畑は美しい。

 しばらく待っていると、ギフチョウがひらひらと飛んできた。

 ギフチョウにカタクリ、春の美しい風景を思いっきり堪能した。
 
 カタクリで吸蜜するギフチョウ
ギフチョウ
(2014年4月16日 新潟県長岡市)
 新潟県のカタクリ山に行って来た。
 今年は雪解けが早く、カタクリもギフチョウも例年より1週間ほど早い
 という。

 始発の電車に乗り、新幹線とバスを乗り継いでやっと着く。
 山のカタクリは盛りを少し過ぎていたが、それでもこの花の群落の中
 に身を置いて、青空を眺めていると、こんな幸せがあるのかと思う。

 しばらくするとギフチョウのお出ましだ。
 オスは少しボロになりかかり、メスもしきりに産卵行動を取っている。
 気温が高く、なかなか止まってはくれない。

 カタクリの花園をゆっくり飛翔していた1頭がすーっとカタクリの花に止
 まった。願ってもないシャッターチャンスだ。

 カタクリを踏み荒らす訳にいかないので、遠くから重い望遠レンズを向
 け、何とかチャンスを逃さない。

 今年もまたこうしてギフチョウとカタクリに出会えて、幸せな気分に浸れ
 るのだった。 

ギフチョウ
(2014年4月16日 新潟県長岡市)
 
ギフチョウ
ギフチョウ 
(2014年4月16日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2012年4月8日 神奈川県石砂山) 
 今年の春はやって来るのが遅かったが、歩み始めると一気にや
 って来た。 
 きのう、東京の桜が満開になった。千鳥ヶ淵に桜を見に行ってき
 た。九段下で地下鉄を降りると、地上に出る階段は殺気立つよう
 な大混雑で雑踏事故が心配になるほどだった。

 それでも桜は爛漫に咲き誇っていた。
 一緒に出掛けたイタリア人の女性が「この美しさは、なんてすごい
 の。言葉に出ないわ。Che bellissima!!」と感嘆していた。

 きょうは石砂山に出かけた。
 ちょっぴり気温が低く、ガン手術後の体力で山歩きが出来るか心
 配だった。ピークに着いてしばらくすると、ギフチョウが舞い始めた。
 次から次とやって来る。

 この光景もぼくにとっては「Che bellisima!!!」だ。
 日本というのはなんと美しい国なのだろう。

 もう山登りはきつくなってきたが、やっぱりやって来てよかったと思
 った。
 アクエリアス」にやって来たギフチョウ
アクエリアスにやって来たギフチョウ
(2012年4月8日 神奈川県石砂山)
  ふと気づくと、ピークに飛んでくるギフチョウたちが、山道に置いた
 アクエリアスに近づいてくる。
 ラベルのブルーのところに一瞬近づいては、「なんだ」というように
 また、飛び立って行く。

 ブルーネットを持って採集に行くとギフチョウがそれに惹かれて集ま
 ってくるそうだが、それに似た行動なのだろう。

 ギフチョウに混じってミヤマセセリもペットボトルに近づいて来た。

 ギフチョウもミヤマセセリもスミレやオオイヌノフグリの花によくやって
 来る。

 このブルーの色彩ががとても好きなのだろう。

 ジャン・レノの「グラン・ブルー」(Le Grand Blue)という映画を思い出
 しながら、興味深く観察をした。

 午後から麓に下りたが、写真スポットになっている梅林は今年は
 所有者が立ち入りを厳しくとがめていて、写真が撮れなかった。

 桜の開花にはもうしばらくかかりそうで、マメザクラもまだつぼみが
 固かった。
ギフチョウ
ギフチョウ
(2011年4月6日 神奈川県石砂山)
 
  大地震の日、早稲田大学の古い校舎の5階にいた。
  激しい揺れに肝をつぶした。

  船橋の自宅まで歩いて帰った。葛西の友人の家に立ち寄り、自宅
  に帰り着いたのは翌朝の8時過ぎだった。千葉の地震の被害は意
  外と大きく、我が家も瓦屋根が壊れ、グラスや大事にしていた皿など
  が壊れた。

  老体には無理だったのか、すっかり体調を壊した。計画停電も重な
  って、外出する気もすっかりなくなっていた。

  ことしはギフチョウはあきらめようと思っていたが、あんまり天気が
  良さそうなので、急にギフチョウに会いたくなった。

  平日だったが、石砂山にはかなりの方がいた。

  気温はどんどん上がったが、ギフチョウはいっこうに姿を現さない。

  いつもは梅がもう散って、桜が咲き始めているのに、ことしはまだ
  梅の花がしっかりついている。季節の歩みは1週間くらい遅いよう
  だ。

  昼を過ぎ、あきらめかけていると、ギフチョウが姿を見せた。ひら
  ひらと舞い、梅の花で吸蜜する。

  この日、目撃したのは3頭だった。どれも新鮮だったが、写真には
  いまひとつ。それでもギフチョウと会えたのはとてもうれしかった。

  地震の疲れがやっと取れた感じがした。 
庭で羽化したギフチョウ
庭で羽化したギフチョウ
(2010年3月13日)
 
  温暖化というけれど、2010年の冬は雪も多く、結構寒かった。
  ちょっと春めいて来ると、揺り戻しがありまた冬に逆戻りする。

  きょう(3月13日)は低気圧の影響で20メートル近い強風が吹い
  ているが、気温の方はぐんぐん上がり、20度近くまで上がった。

  朝、庭を見ていると、ギフチョウが羽化していた。

  強風を避け、ユキヤナギの小枝に必死にしがみついていた。庭に
  はあまり花が咲いていないが、日当たりの良いボケの花にそっと
  置いてやると、元気よく蜜を吸い始めた。

  このギフチョウは去年撮影旅行に出かけた長岡近郊のものだ。卵
  を少し持ち帰り、飼育した。

  元気よく羽化してくれてとてもうれしかった。

  いよいよ、ことしも蝶の季節が始まる。

                         (2010年3月13日)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月3日 神奈川県藤野町)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月3日 神奈川県藤野町)
   ことし(2009年)は不思議な天気だった。

   3月の中旬にぽかぽかと一気に春の陽気が続き、と思ったら
   また、厳しい寒の戻りが2週間続いた。

   石砂山では3月16日がギフチョウの初見日だった。

   冬の寒さが和らぎ、絶好の春の季節がやって来た。電車を乗り
   継ぎ藤野の駅に9時過ぎに着いたが、タクシーが拾えなかった。

   1時間以上ロスして、結局、石砂山には入れなかった。山麓をぶ
   らぶらと歩いて、ギフチョウを探した。

   昼ごろになると気温もかなり上がり、春を待ちかねたようにギフ
   チョウが舞い始めた。

   金曜日だったが、団塊世代のカメラマンでにぎわっていた。
   ギフチョウよりもカメラマンの方が多いくらいだったが、それでも
   花に集まるギフチョウを見ると心がなごむのだった。
                (2009年4月3日)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月3日 神奈川県藤野町)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月11日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月11日 新潟県長岡市)
   蝶友のKさんからギフチョウ観察行のお誘いを受けた。

   「シークレットポイントにご案内します」
   Kさんはにこにこ笑っている。

   長岡市近郊の丘陵地。雑木林のあちこちにカタクリの群落が
   ある。初夏を思わせる日差しが降り注ぐ。

   そこにギフチョウがやってくるのだった。

   ぼくらが着いた時、もう気温がかなり高くなっていたので、ギフ
   チョウはもう吸蜜を終え、活発に活動してなかなかカタクリに
   止まってくれなかった。

   午後になって日差しが落ち着いてくると、ギフチョウはまた、吸
   蜜活動を始めた。

   ゆったりと飛翔し、気に入ったカタクリを探す。

   ギフチョウとカタクリ。

   なんて、美しい画なんだろう。ここは採集者も入っていないよう
   だ。ギフチョウにとって天国のようなところなんだろう。

   案内してくれたKさんの好意に感謝したのだった。
ギフチョウ
ギフチョウ
(2009年4月11日 新潟県長岡市)
カンアオイに産卵するギフチョウ
カンアオイに産卵するギフチョウ
(2009年4月11日 新潟県長岡市)
   ギフチョウが地表近くせわしなく飛び回っている。

   カンアオイの新葉を捜しているようだ。

   目ざとく新葉を見つけると、ギフチョウのメスは産卵を始めた。

   ギフチョウのメスはオスと交尾が終わると腹部の先端に交尾
   嚢ができる。ほかのオスと”浮気”が出来ないようになってい
   るのだ。

   メスは腹端をぐっと曲げるとカンアオイにひとつずつ、ゆっくり
   卵を産み付けて行く。エメラルド色に輝く、真珠のような卵だった。

   5分ほどかけて10数卵の卵を産み付けると、メスはまた、別の
   カンアオイを探して飛び立っていった。
カンアオイに産み付けられたギフチョウの卵
カンアオイに産み付けられたギフチョウの卵
(2009年4月11日 新潟県長岡市)
ギフチョウ
ギフチョウ
(2008年4月3日 神奈川県・石砂山)

   冬が暖かかったせいか、ことし(2008年)の桜は満開が意外
   と早く、もう散り際になってしまった。

   国立博物館に「薬師寺展」を観にいって、庭園に出てみると庭
   一面に桜の絨毯が敷き詰められていた。素晴らしい光景でた
   だ、うっとり見とれていた。

   俳句の季語に「花筏(はないかだ)」というのがある。桜が水面
   に散ってまるで花の筏のようだという、うまい表現だ。

   桜の絨毯は何と言ったらいいのだろう。

   この季節、やはりギフチョウが心を誘ってくれる。

   4月3日、石砂山に出かけた。

   相模湖の次の藤野駅で桜の開花状態を見て「きょうは春の女神
   と一日デートだ」と胸を躍らせる。この駅の桜は樹齢数十年の古
   木で花弁の色もとりわけ鮮やかだ。

   ところが電車を降りると、その桜の姿が見当たらない。

   聞いてみると、バリア・フリーの工事でばっさり切り倒したのだと
   いう。あまりのことに声も出なかった。

   しょんぼりして石砂山に向かう。

   尾根や小さなピークに登ると、ギフチョウが出迎えてくれた。

   この山はスミレぐらいで花が少ないのが難点だが、荷物を置い
   て座り込むと、周りの枯れ葉などで日向ぼっこをしてくれる。

   ギフチョウと遊んでいると、遠い昔に帰ったようで懐かしく、う
   れしい気持ちになる。

   ギフチョウはことしも健在だった。

   束の間のデートでさっきのいやな気分も吹っ飛んで行った。
ギフチョウ
ギフチョウ
(2007年3月28日  石砂山)

   ことし(2007年)は春の歩みが速かった。

   気象庁が桜の開花を静岡で3月18日と発表して、後から訂正
   するというミスもあったが、3月になるとモンキチョウが飛んでい
   る、ミヤマセセリが飛び始めたといった心浮き立つ蝶の情報が
   飛び交い始めた。

   石砂山のギフも意外と早く、18日には羽化を始め盛んに活動
   しだしたという。

   気温が20度近くまで上がるという予報を待って、23日に出か
   けてみた。

   6時過ぎに自宅を出て、藤野駅に9時半前に着いた。ここの桜
   はなかなかいいのだが、まだ、一分咲きくらいでつぼみが固か
   った。

   駅からタクシーで牧馬峠まで行き、そこから登る。いくつかのポ
   イントを見るが、なかなかギフチョウと出会うことができない。

   気温が少しづつ上がってくるとギフがあちこち舞い始めた。
   ここはスミレぐらいしか咲いていないのが写真には残念なのだ
   が、3月末で多くのギフチョウと会え、帰り道の足取りも軽くなる
   のだった。

           (2007年3月28日  神奈川県石砂山)


ギフチョウ

   春になるとそわそわとする。
   “春の女神”、ギフチョウが姿をみせるからだ。

   中学生の頃、神奈川県の中津渓谷に出かけた。桜が満開に
   近く、穏やかな日差しが暖かかった。
   本厚木からバスに乗り、半原の橋のたもとで下車、あても
   なく中津川渓谷沿いの道を歩いていた。

   30分ほど歩いて右手の杉林を見ると、林床に木漏れ日の
   ように陽が差し込んでいる。

   ふと、気づくとなにやら蝶がちらちらと飛んでいる。あわ
   てて林の中に駆け込み、ネットをかぶせると、黄色と黒の
   だんだら模様がまぎれもなくギフチョウだった。

   それがギフチョウとの初めての出会いだった。

   2005年の春、久しぶりに相模湖近くの低山に向かった。
   ブッシュをかき分け、あえぐように尾根にたどり着く。

   スミレが咲き、枯葉がじゅうたんのようにふかふかしてい
   た。しばらく休んでいると、目の前のスミレにギフチョウ
   飛来した。あわててシャッターを押す。

   記念すべきギフは手ぶれでピンぼけだったが、ふと見ると
   ギフはつぎつぎとやって来ては、枯葉の上で休み、また
   どこかへ飛んでいくのだった。
   散り始めた桜の花びらを受け、幸せな気持ちになって山を
   降りたのだった。

           (2005年4月9日  神奈川県藤野町)


ギフチョウ(石砂山)

   お彼岸なのに東京の桜に開花宣言が出された。
   2006年の桜は平年より一週間早かった。

   昔なら小学校の入学式と桜の満開時期がおなじ頃だった
   ような気がする。ランドセルを背負った新入生とお母さ
   んがはらはらと散り始めた桜の下で記念写真を撮る。

   いい風景だった。

   桜の開花に促されるように四月一日(日)、石砂山に行っ
   て来た。高尾山、石老山、小倉山、多摩丘陵、東丹沢と
   ギフチョウの名だたる産地が消滅する中で、石砂山はギ
   フチョウが棲息している。地元の人の保護もあって、年
   々その優美な姿も増えてきているという。

   他の産地が絶滅してしまったのに、石砂山だけはなぜ、
   ギフチョウが棲息しているのだろうか?

   神奈川県はかなり以前から清川村などで人工増殖の試み
   を行って、東丹沢ではいくつかギフチョウが採集される
   ようになってきた。

   石砂山のギフは他産地のものを毎年放蝶しているのだと
   言われたことがある。

   ここのギフは神奈川県の天然記念物に指定され保護さ
   れているが、新潟県など他産地のものが中心になって、
   遺伝子かく乱が起きている現状で、これを石砂山産とし
   て天然記念物にして保護する意味があるのかという意見
   もある。

   牧馬峠に車を止め、山道を上がっていく。

   きょうは気温があまり高くないうえに、風もちょっと冷
   たく近辺の桜はまだ、二、三分咲きだったが、スミレは
   満開だ。

   ぼくはゆっくりと陽だまりを探し、小さなピークに上が
   ったりしていると、ギフチョウがひらひら現れた。

   スミレに止まったところはうまく撮れなかったが、ギフ
   チョウは枯葉の上で休んでは、また飛び立って、悠々と
   遊んでいるのだった。

   保護に値するかどうか、自然の生態系を乱す行為だとい
   う論議もあるが、ギフチョウが舞い飛ぶ山があることが
   とてもうれしかった。 

           (2006年4月1日 神奈川県石砂山)
 ギフチョウ異常型
イエローテイル風の異常型
(2022年4月17日 新潟県長岡市)


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